◆「煮干乱舞」【杉戸】
◎「肉中華そば」六五〇円
…昨晩は久し振りに、気の合う同僚の方々と赤羽で酒を酌み交わし、
最寄り駅迄の終電車を逃し、大宮駅から歩くと言う駄目さ加減…。
歩いて帰る道中に在った「ラーメン 青木亭」も何時の間にか閉店してしまい、
腹拵えをする店も無くなってしまい、已む無く、「松屋」で我慢。
夜中に「オリジナルカレギュウ」を掻っ込む駄目中年…。
一体、何をやっているんだか。
親が見たら泣くぞ…。
帰宅後は直ぐ様に轟沈し、気絶。
酒浸りの重たい身体の代償は大きく、一〇時過ぎに漸く起き上がれる。
風呂に入り、身を清め、僅かばかり全うな人間に戻る。
空腹感を感じ、十一時半過ぎに家を飛び出す。
暖かく成り、目高の鉢を綺麗にし、水も換え、夏らしく成ったので、
目高の数を増やそうと、農産物直売所にでも買いに行きたい。
序に美味しいラーメンも食べたい。
一挙両得が狙えそうなのが、杉戸町に在る「アグリパークゆめすぎと」。
此方には、最近気に成っている、煮干しラーメンの店が在る。
現場に急行してみると、好天の日曜日とあって、随分と混雑している。
さて、先ずは空腹を満たそうと、此方を探す。
場内の一画に、プレハブ造りの簡易的な食事処が並んでおり、其の中に在る。
丸で、屋台の露店の様だ。
先ずは、先に注文と会計を済ます方式の様だ。
メニューは潔く「中華そば」、「肉中華そば」、「油そば」のみ。
折角なので、叉焼の入った「肉中華そば」が良いな。
店頭では持ち帰り用の叉焼も販売されており、思わず、買いそうに成る…。
出費続きで懐が傷んでいるので、一五〇〇円と高額商品は購入出来ない。
グッと堪え、会計をし、横にずれ、出来上がりを其の場で待つ。
こう言う形態なので、出来上がりも早いが、侮れない味なのだろうな。
目の前で調理をしている店主氏が、不意に話し掛けて呉れる。
暑く成って来たので、夏仕様のあっさり系の煮干しスープに仕上げていると。
個人的には、こってりとした、重厚感の有る物でも良いのだが。
出来上がった丼を受け取れば、簡素乍ら、何とも秀逸な出来栄え。
煮干しの馨しい芳香が濛々と立ち上り、一刻も早く頂きたい。
店頭に設えられた客席で、青空の下、煮干しラーメンを啜る。
先ずはプースーから啜ろう。
ほう、ほう、何とも素敵な煮干しのパンチが効いているじゃないのさ。
仄かな蘞みも含め、煮干しらしさが確りと感じられ、此れは嬉しい。
今日のプースーは鶏ガラと煮干しと言うが、鶏ガラは優しい味わい乍らも、
円やかで滑らかなコクが有り、此れに煮干しがガツンと来る。
薬味の刻み玉葱がショリショリとして、甘味も有り、煮干しを引き立てている。
黄金週間期間中は豚骨と鶏ガラに煮干し二倍量で提供していたらしいが、
もっと近くに在れば、間違い無く、具に味わいに来るのだが…。
麺を啜れば、バツっと、プツンと千切れる食感が心地好い。
粉の風味が感じられる低加水麺は、此の煮干し出汁に良く合う。
此れは、二〇〇円足してでも大盛りにすべきだったかと後悔してみる。
まあ、此れ以上太ったら、生活に支障を来たすからな…。
さて、四切れ乗った叉焼に取り掛かろう。
小振りだが、赤身と脂身が綺麗な層に成っており、赤身は繊維に沿って解れる。
適度な噛み応えが有り、弾力と染み出す旨味が秀逸だ。
脂身もプルンとして、軟らかくて、甘味が強く感じられる。
嗚呼、土産用の叉焼を買いたいと思わせて呉れるが、貧乏人はグッと我慢…。
プースーは勿論、綺麗に一滴残さず飲み干す。
此の美麗な出汁を残しちゃいかんでしょう。
定期的にメニューを確認したい店だ。
