◆「麺屋 六文銭」【宮原】
…一昨日。
世間様は御盆休みらしく、浮付いて、浮かれ狂い、遊び呆けてらっしゃり、
何とも平和で羨ましく、御目出度いこってす…。
こちとら、毎日朝から晩迄、汗を噴き出し、血尿が出そうな程に労働し、
夏休みも無く、所定の公休日数も消化出来ず、貧乏暇無しの暮らし。
如何して生まれて来ちゃったんだろう…。
此の日は忙しい中、無理に公休日を捻じ込んだだけで、決して夏休みではない。
肩凝りも酷く、気持ちが悪くなる程。
貴重な休日、日がな一日寝て暮らすのも怠いので、朝は何とか起き出す。
午前中は長椅子に横たわり、夢と現の間を行き来し、極めて自堕落に過ごす。
昼を過ぎ、暑さと怠さが相俟って、昼御飯を食べに出る気力も無い。
然し、仕事中は昼御飯を食べられないので、休みの日位は食べようかね。
夏休みで営業している店も少なく、予め、開店している店を調べ、此方に決定。
◎「エビスビール(中瓶)」五四〇円
…店に着くと、何とか席が空いているので、券売機で食券を購入する。
折角の休日、連日の激務を癒すべく、昼間っから呑もう!
前回、五月十六日に訪問時は「サッポロラガービール」を頂いたが、
瞬時に券売機で見付けられず、発見したのが「エビスビール」。
銘柄に拘りも無く、味も大して分からないので、何ら問題無い。
席に座り、店主氏に食券を手渡し、初めにルービーの到着。
コップに注ぎ、グイッと飲れば、休日ならではの至福の時だ。
と言っても、周囲は夏休みであろう客ばかりだが…。
◎「特製もりそば(中)」八五〇円+「青森生にんにく」五〇円
…ラーメンはと言うと、此方では「特製もりそば」と決まっている。
そして、前回に続いて、店主氏御薦めと言う「青森生にんにく」も付ける。
此方が出来た当時は、「東池袋大勝軒」系統の店が大宮周辺に無かったのと、
其の旨さも相俟って、鮮烈な印象を受けたが、次第に足が遠退いてしまった。
「東池袋大勝軒」系の大増殖、味の流行り廃りも有ろう。
然し、こうして一〇年以上も、此の地で営業していると言うのは、
地元民としては嬉しく、何時迄も営業していて欲しいと願っている。
最近は店主氏がブログで、自虐的に暇なのを嘆いており、心配ではあるが…。
頻繁には御邪魔出来ないが、事有る毎に訪れたい店である。
さて、つけ麺はと言うと、昔から知っている安定した味。
「東池袋大勝軒」系らしい甘酸っぱいつけ汁は、魚介系と動物系の出汁が効き、
一時期、毎週の様に各地で開店した「東池袋大勝軒」とは一線画す。
贔屓目かも知れないが、二〇代の頃から頂いてる味なので落ち着く。
麺は、石臼挽きの全粒粉を使用した自家製麺。
モチモチした食感、冷水で〆られ、プリッとした弾力は勿論だ。
麺自体に旨味が有り、粉の風味が感じられ、秀逸だと思う。
具の叉焼、萌やし、海苔、九条葱は些かの寂しさが感じられるが、
叉焼は端っこの部位で、味が染みていて、麦酒の摘みにしたい感じ。
途中から投入した大蒜も、辛味が程好く、味にパンチが増す。
そんな刻み大蒜が溶け出したつけ汁を確りと飲み干し、疲労回復に努めてみる。
もっと頻繁に御邪魔したいのは山々だが、青春の味である事は間違い無い。