◆「とんかつ かつ元」【大宮】
…昨晩。
夢に迄見た、松本 隆作詞活動四十五周年記念「風街レジェンド」の公演を、
東京国際フォーラムホールAにて、四時間みっちり、ぶっ通しで堪能するも、
夢の様な時間はあっと言う間に終わり、現実へと引き戻される。
然し乍ら、夢現の状態で、余韻に浸りつつ、現実へ戻りたくない気分…。
時間は二十一時を廻り、東京駅迄歩き、大宮駅へと戻って来る。
夢心地の儘、軽く一杯引っ掛けてから帰りたい。
彼是と考えた結果、埼玉県を代表する企業「日高屋」が豚カツを始めたと言う。
其の第一号店へと行ってみよう。
◎「生ビール」三一〇円
…隣の「いきなりステーキ」とも迷ったが、初志貫徹で此方へ。
店内に入り、カウンター席に腰掛け、先ずはルービー発注。
其れにしても、三一〇円と言う価格は、こう言う店舗でないと無理だな。
グイッと呷り、耳の奥の方で未だ鳴っている夢の様な音楽を振り返る。
蒸し暑さも相俟って、シュワっとした炭酸が心地好い。
◎「あかもく」一九〇円
…摘みは如何しようか、メニューを拝見すると、見慣れない文字列が。
「あかもく」とは、三十九年の人生で、恥ずかし乍ら、初めて御目に掛かる。
調べてみると、赤藻屑とは、ホンダワラ科の褐藻で、海岸の干潮線以下に生え、
細長く、羽状に切れ込み、円柱状の気泡が有ると言う代物らしいが、
平たく言えば、秋田県で言う所の「ギバサ」で、其れならば知り得ている。
此の手の粘粘した海藻の類は、水雲、和布蕪にしても大好きだ。
さて、プンスーで掬って頂けば、黒酢で和えてあるとあって、酸味が有るが、
適度な粘り気と、コリコリとした細かな歯触りが心地好く、酒とも合うわぃ。
◎「かつ煮」五〇〇円
…肝心の主役の摘みはと言うと、ロースカツでとも考える。
ヒレカツは脂身が無いので、断じて有り得ないがね。
然し、如何も腕白気質なのか、カツ煮が好きで仕方無いのだ。
と言う訳で、甘辛い味付けと玉子で綴じられたカツを摘みにしよう。
十五分程で出来上がって出て来ると、うん、残念乍ら、玉子は半熟ではない。
半熟なだけで、見栄えがグンと良く成るのだが…。
其れはさて置き、冷めない内に、先ずは端っこから頂こう。
玉子が掛かっていない部位なので、衣のサクッとした食感が有る。
肉はと言うと、脂身は有り、其れなりにジューシーだ。
赤身の部位は、パサつきが有り、肉質は良いとは言い難いかな。
まあ、「日高屋」の豚カツと言う時点で、多くを求めてはいけないわね。
値段相応の味で美味しく頂ける、其れだけで十分なのだから。
味付けは濃い味で、麦酒が捗って仕方無く、三杯を三〇分強で呷る。
と、軽く此れにて終了し、帰宅して、「風街レジェンド」の余韻に更に浸る。