◆「𠮷野家」【的場】
◎「牛丼(並)」三八〇円+「玉子」六〇円
…一々五月蠅いかも知れないが、昨日の「風街レジェンド」は凄かった。
興奮が冷めやらず、昨晩は帰宅後も、午前一時半迄、独り悶絶していた。
もう、一生に一度の体験だろうなと、人生を締め括っても良いわ…。
夢心地で眠りに落ち、今朝目覚めれば、あれは夢だったのか、現実だったのか、
其の区別が付かなくなりそうな程で、其の余韻を繋ぎ止めるかの様に、
iPodのプレイリストで「風街レジェンド」を編集する。
然し、現実は否応無く、容赦無く訪れ、翌日からの仕事を考えると…。
一気に気持ちが重くなり、サザエさん症候群に侵され始める。
いけない、いけない、現実逃避しないと。
其のプレイリストを聴き乍ら運転でもしようと、昼前に家を飛び出す。
行く当ては特に無いのだが、何とは無しに思い付いたのが、
今迄訪れた事の無い、日高市に在る「サイボクハム」へ行ってみるか。
到着すれば、予想を遥かに超える人出と、施設の大きさに驚く。
温泉が有ったりと、随分と手広く、色々な事業を行っている様だ。
其処で、月末で金も無いので、ウィンナーを購入するに留め、帰路を辿る。
貧乏って、本当に心が荒んで行く…。
御蔭で、財布の中から紙幣が消え、明日から、如何やって暮らすんだろうか?
さて、財布の中身が小銭のみに成ったので、昼御飯は簡単に。
そう言えば、暫く「𠮷野家」に行っておらず、先日来、食べたいと欲していた。
店に入り、着席し、久し振りにメニューを見てみる。
牛丼も随分と値上がりしたナァ~。
此処は無難に、「牛丼(並)」と「玉子」を発注。
如何も、「No 玉子,No 牛丼」なのでね。
発注したら、出て来るのは其りゃ早い。
牛丼の上に、生玉子を溶いてぶっ掛け、卓上の紅生姜、七味唐辛子も加える。
いざ、七年振りに味わってみると、ん!?こんな味だったっけ?
紅生姜の味で誤魔化されてしまったのか、僕の味覚が馬鹿なのか、
将又、味付けが変わったのか、真偽の程は分からないが、以前の印象とは違う。
まあ、兎にも角にも、美味しく頂ける事は間違い無い。
牛肉は赤身と脂身が程好く混じり合った物だけを使用していると言うだけあり、
赤身だけでも、脂身だけでも具合が悪く、均整が大事なのだ。
牛肉は適正な温度で寝かせると、時間と共に蛋白質が分解され、
旨味成分であるアミノ酸に変化して行き、ペプチドと言う成分が増える事で、
牛肉の酸味が抑制され、円やかに成ると言い、最近流行りの熟成だな。
此れまでは、冷凍していた肉を解凍、薄切りし、調理する迄に経過する期間を、
熟成期間としていたが、従来よりも約二週間早く冷凍から冷蔵に移行し、
熟成期間を延長する事で、更に旨味が増し、肉の食感も向上すると言う能書き。
「鮨処 いっしん」でも、槍烏賊、墨烏賊にしても、獲れ立ての物よりも、
寝かせて熟成させた物の方が、ねっとりとして、甘味、旨味が強くなると、
マスターからも教わった事が有り、矢張り、腐り掛けが旨いのかね。
と言う訳で、あっと言う間に食べ終わり、赤貧生活も偶には良いかしらね…。