◆「かしら屋 大宮西口店」【大宮】
…昨晩。
何でも、世間様には白銀週間と言う、五連休もの信じ難い大型連休が有ると言う。
如何言う訳だか、僕には適用されない様で、世の不条理を感じずには居られない。
遊び呆けられる人、齷齪労働する人、人生、此れで勝ち負けが決するのだろうな。
ブルジョワジー様が遊び呆け遊ばされる初日の土曜日から、こちとら過酷な労働。
お台場では、訳の分からない、若者向けの舞踏音楽の催しが開催されている様で、
チンドン屋の様な格好の男女、痴女や娼婦の様な格好の女、入れ墨だらけの男や、
気が違って、気が触れた人間で街は溢れ、乱れた若者文化や日本の終末を痛感し、
又、塵を其処等に捨てたり、大声で喚いたりと言う公衆道徳の無さに嫌気が差し、
胸糞が悪く、著しく気分を害し、胃袋に穴が開く程のストレスを受け、発狂寸前。
盛大に開催して頂けないかと、運営事務局に投書を寄せたいと、本気で考える…。
きっと、ああ言う人達は、どんな場所で開催されても、頑張って行く事でしょう。
そんな非常識な輩に振り回され、此の儘では此方の気が狂ってしまいそうなので、
少し早く上がれたので、途中下車して、心身を解き放たないと駄目だと判断する。
行き先は決まっており、二十二時に大宮駅に降り立ち、そそくさと西口を目指す。
階段を下り、地下の入口から入れば、閉店一時間前なので、安心して着席出来る。
◎「サッポロ生ビール(中)」五〇〇円
…席に座るや否や、皿、味噌ダレの壺が配膳され、既に「カシラ」も待機している。
透かさず、逸る気持ちを抑えつつ、取りも直さずルービーを発注し、登場を待つ。
ジョッキを受け取り、一旦置かずに、其の儘、手渡しでグイッと口から御出迎え。
此の三日間の狂乱に振り回されて傷んだ身と心を消毒して呉れ、解毒作用も有る。
此の一杯が有るから、此の三日間を耐え忍んで来たのだと思うと、実に感慨深い。
◎「カシラ」一四〇円
…麦酒よりも先に配膳され、待機していたカシラ、此れをどれだけ待ち侘びた事か。
八月二十八日以来なので、二十四日振り随分と間が空き、禁断症状が出ている程。
夢にも出て来て、ぼんやりと気を抜いていると、此のカシラの妄想をしてしまう。
入念に刷毛で、秘伝の味噌ダレを丹念に塗る作業が一番愉しみな瞬間でもあろう。
先ずは、核弾頭とも言うべきカシラ肉から噛り付けば、一瞬で至福の時が訪れる。
キュッと引き締まった、陸上競技経験者の若い婦女子の太腿の様な張りと弾力と、
硬さを感じさせない、何とも言えない軟らかさと、歯切れの良い食感は究極だな。
二の矢の葱も決して侮ってはならず、寧ろ、主役を喰う程の旨さを秘めているだ。
氾濫を繰り返した利根川の肥沃な土壌の恩恵を受け、日本一の葱と讃えたい程だ。
絶妙の塩加減が、葱の持つ甘みを最大限に引き出し、シャキシャキした歯触りと、
中からトロっと出て来る芯の甘味と来たら、奥さん、其りゃもう、大騒ぎですよ。
真ん中にドンと鎮座する豚トロは、串の中でも矢張り存在感が一際際立っている。
焼き立てを観察すると、細かい脂がヂヴヂヴと跳ねており、其れだけで香ばしい。
表面はカリッと香ばしく、中はねっとりと濃厚な豚の旨味で、此れを麦酒で流す。
豚の旨さの余韻に浸りつつ、麦酒で流し、残りの葱とカシラを迎える準備が整う。
一本を食べ終えた時、僕の最後の晩餐は此の「カシラ」で良いと本気で思った…。
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
◎「ホッピー」三六〇円
…麦酒は一杯で止し、時間も無いので、酒を替え、酔っ払う準備を加速させないと。
焼きとんと言えばホッピー、ホッピーと言えば焼きとんで、ホッピーは不可欠だ。
カクテルの中では一番好きで、勿論、黒ではなく、ホッピーは白に決まっている。
プリン体が入っていないので、最近、偶に足の親指が疼くおっさんにも有り難い。
気の抜けた麦酒、遣る気の無い麦酒みたいな感じが、実に脱力的で、緩くて良い。
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
◎「カシラ」一四〇円
時間が遅かった為、十一本に甘んじ、麦酒一杯、ホッピー三杯を一時間弱で堪能し、
すっかりヘベのレケのポンコツおぢさんは、如何言う訳だか、直ぐに電車に乗らず、