◆「フレンチバル セゾニエ」【宮原】
…月曜日。
三連休の最終日の此の日、日中は氷川神社に厄除けに出掛け、
夕方、御近所さんが誕生日祝いを持参して呉れ、何とも有難い限りだ。
晩は、少し遅い誕生日も兼ね、以前から御邪魔したかった此方へ初訪店。
余談だが、御店主は、酒井くにお・とおるの「とおる」師匠に似ている…。
◎「サッポロ生ビール」三二四円
…月曜日定休の為、祝日だが営業しているか、事前に問い合わせた甲斐も有り、
店に着くと、店主氏が席に案内して呉れ、無事に着席。
何でも、アルバイトが休みに成ってしまい、店主氏一人で切り盛りとの事。
手隙の合間を縫って、先ずは麦酒を発注。
グラスでの提供と言えども、此の価格は破格の安さだ。
「バル」と名乗る位だから、流石にジョッキでは出て来ないわね。
良さ気な店なので、御近所さんにも教えようと、連絡をして呼び付けてみる…。
…店主氏から、此の日の御薦めが記された白板を渡され、じっくりと眺める。
如何も、其の日だけのメニューと言うのに惹かれてしまう。
酒を飲るに当たり、生魚が無いと駄目な口なので、其れを探す。
おっ、ガスパッチョ、もとい、カルパッチョが有るではないか。
然も、昆布〆とは珍しく、即決で発注。
真鯛は身がしっとりとして、昆布の風味も相俟って、ねっとりとした旨さ。
こう言う、一手間加えた物と言うのは、店の質を物語る。
味付けは橄欖油、塩、檸檬汁、合法ハーブだろうか、簡素なのが良い。
◎「殻付きカキのオーブン焼き エシャロット風味」五四〇円
…何だか嬉しく成ってしまうね、牡蠣も有るなんて。
迷わず発注してしまうよ、おぢさんは…。
殻の儘に焼かれた牡蠣は、海辺で見掛ける焼き牡蠣とは見た目が異なり、
流石は、洋風な装いをあしらって運ばれて来る。
檸檬を搾って頂いてみると、貝柱が殻に付いた儘なので、手を加えず、
其の儘に調理された事が分かり、其れも嬉しいわね。
牡蠣は火が通り過ぎていない感じで、身が硬く成っている事も無く、
半生とも思える様なプリプリ感で、瑞瑞しさが味わえる。
エシャロットの少しツンと来る風味が心地好い。
◎「ル・ヴァル」三六〇円
…御近所さんも到着した所で、改めて、葡萄酒で乾杯。
葡萄酒に関しては無知なので、御近所さんの真似で。
仏蘭西はラングドックと言う場所の物らしい。
パイナップルや南国の果物の香りの中に、クリームブリュレや、
木の実の香りが感じられ、爽やかでな口当たりで、
バターの様な確りとした味わいが特徴と言うが、僕の馬鹿舌では…。
◎「アルマデチリ カベルネ・ソーヴィニヨン」一八八〇円
…グラスの葡萄酒は御上品な量だったので、直ぐに呑み干してしまい、
次は、瓶で発注した方が安いのでと、此れ又、御近所さんに御任せで。
新鮮なベリー系の香りの中に、微かにスパイシーさを感じる、
ジャムの様な味わいと言うが、此れ又、僕の馬鹿舌ではね…。
炭酸の抜けたファンタみたい、としか表現が出て来ない。
酔えれば十分で、至って美味しく頂く。
◎「特製ビーフシチュー」九九九円
…赤葡萄酒に移行したら、何だかクーニーを頂きたくなってしまう。
御薦めの白板の最下段に、何とも蠱惑的な文字列を発見。
冬場は此の手の煮込み料理は身体が欲する。
牛肉が肉の繊維に沿って解れる様な感じで、噛み締めると肉の旨味が染み出す。
腕白中年は、デミグラスソースは好きだわね。
ブロッコリーは別に良いが、椎茸、じゃが芋も良い存在感を出している。
麺麭も付いて、テレレを付けて頂くのも良いわね。
◎「フランス産カモ胸肉のロースト赤ワインソース」一三〇〇円
…普段の僕の食生活では、絶対に登場しないメニューが此方には多数有る。
鴨肉を焼いた物なんて、頂く機会は丸で無いし。
頑張って、鴨南蛮が精一杯だからな…。
皮がカリッと香ばしく、此れぞ、鴨肉の為せる業だ。
肉質も軟らかく、適度な噛み応えと弾力が心地好い。
赤葡萄酒で拵えたと言うテレレも絶妙で、葡萄酒が捗って仕方が無い。
…カルパッチョと牡蠣と一緒に発注した此れが未だだったので、
注文が通っているか訊いたら、サーヴィスで前菜を付け合わせで出して頂く。
却って、催促した様で申し訳無い限りだ…。
さて、鶏肉はと言うと、御近所さんの御出身地、鳥取県産の大山鶏。
鶏肉は個人的には、脚フェチなので腿肉の方が好みだが、
此の調理法には、軟らかい胸肉の方が合うのだろうな。
勿論、パイオツも大好物だ…。
しっとりとして、口内で同化するかの様だ。
◎「キャベツとアンチョビのオリーブ」七六〇円
…さて、そろそろ〆はゲッティーだ。
先ずは、塩味の物から頂いてみよう。
普段は余り、ペペロンチーノの様な物は頂かないのだが、複数名居るしね。
キャベツ、茄子、菜の花、赤茄子が入り、さっぱりとした味わい。
麺はと言うと、此れは良いね。
デュラムセモリナ粉一〇〇パーセントで打つと言い、物凄いモッチリ感。
ラーメンとは又違った弾力で、つけ麺で味わう様なポキポキと言う食感より、
モチモチが主張していて、此れは一食の価値は有る。
◎「魚介類のトマトソース」七六〇円
…「ベーコンとトマトのピリ辛トマトソース」、「キノコのクリームソース」、
「チキンとなすのドリア」なんてのも、白板に記されているが、
メニューを捲ると、「魚介類のトマトソース」と言うのが見え、
御店主に訊いてみると、対応可能と言うので御願いしてみる。
頼んだは良いものの、此れで七六〇円で元が取れるのかしら。
海老、浅蜊、烏賊、帆立がゴロゴロと入り、其れが一々大きい。
此れは、普通は一〇〇〇円超えるでしょ。
赤茄子のテレレにも、此の麺はバッチリ合い、最高に旨い。
麦酒、白葡萄酒、赤葡萄酒とさんざっぱら呑み散らかし、喰い散らかし、
此の費用対効果には大満足で、歩いて行くと一寸時間は掛かるが、最高だわね。
もう二度と御邪魔する事は無い「Ken’s Kitchen」さん、
此れはうかうかして居られないですな。