◆「小麦屋」【七里】
◎「岩のりせいろ(そば)」七八〇円
…唯一の生きる希望である休日も、今日で二日目にして最終日。
休日の朝は、驚く程に健やかに、早く、すっきりと目が覚める。
今朝も七時半には寝床を抜け出し、新しい朝を迎える。
午前中はゆっくりと、ゆったりと過ごす事が出来るが、時間が経つに連れ、
重苦しいサザエさん症候群が心身を蝕み始める。
今日も又、十一時前に買い物がてら家を出る。
一先ず用事が片付き、正午に成ったので、昼御飯としよう。
近くの「狼煙~NOROSHI~」は運良く大行列は無いのだが、
如何せん、食欲と言うか、ガッツリと頂ける程の元気が無いので回避…。
少し大人し目の「中華そば 螢」に向かうと、一〇人以上の店外待ち。
もう、とっとと諦め、此の際だ、予定変更でさっぱりと蕎麦にしよう。
今の僕には、あっさり、すっきりした物でないと身体が受け付けない。
と言う訳で、子供の時分にさんざっぱら遊んだ大谷商店街の中に在り、
二〇一二年六月十七日以来、実に、五年振り三度目の此方に御邪魔する。
店頭の駐車場も一台空きが有り、すんなり入店出来る。
席にヨッコイショーイチし、御茶か冷水かを訊かれ、冷水で御願いする。
メニューを手繰り、何を手繰ろうかと思案する。
元々は、蕎麦好きの「鮨処 いっしん」のマスターに教えて貰ったので、
味に関しては安心で、蕎麦だけでなく、饂飩も提供している様だ。
前回は「鴨せいろ(そば)」を頂いたが、今回は、妙に惹かれたのが、
「岩のりせいろ」と言う代物で、此れを蕎麦で発注してみる。
十三時を過ぎ、昼時の繁忙時を過ぎたのか、一〇分程で配膳される。
器に岩海苔が入っており、其処に蕎麦徳利から蕎麦つゆを注ぎ、
準備が整ったら、蕎麦を手繰り、スルスルっと啜ろう。
蕎麦はキリリと冷たく、冷水で確りと〆られており、凛々しさが漂う。
届いた剥き身を、店内に有る石臼で丁寧に挽いていると言う。
程好い腰が効いており、実に涼やかで、啜り心地の良い蕎麦だ。
蕎麦つゆは甘味が有るも、甘過ぎず、切れが有って良い。
此の蕎麦つゆを岩海苔がたっぷりと吸い、磯の香りが鼻腔を擽る。
薬味の葱と山葵の風味も加わり、偶には蕎麦も粋で良いな。
最後は確りと、蕎麦湯で〆、休日最後の昼餐を終える社会不適合者…。