◆「野州蕎麦処 いなりや」【日光】
…昨日。
心身の著しい不調に陥り、生きた心地のしない毎日を送って久しい。
真夏の繁忙期を前に、代休消化の指示も出ており、此の際なので、
土曜日から四連休を確保し、心身を解き放とうと試みる。
と言う訳で、本来であれば先月、気晴らし、気分転換に旅に出ようと思うも、
御医者に掛かったり出費が嵩み、持ち越しに成っていたので、
心の平安を祈願しに、日光へ出掛けようと思い立つ。
大宮駅八時〇二分発の特別急行「日光」一号に乗車し、いざ行かん。
七年前に訪れた時は黄金週間の混雑で断念した華厳の滝を目指す。
大滝詠一師の「NIAGARA」のサブレーベル「Keg-on」の由来だし。
湖畔には、土産物屋兼食堂の様な店が多く、余り食指が動かない。
其の中に、「浅井精肉店」直営の「トンカツ 浅井」と言う店が大行列で、
大いに気に成るも、カウンター六席のみで回転も悪そうなので回避…。
仕方無くと言っては何だが、自動二輪車の集団が屯している此方で蕎麦を。
◎「ビール(中)キリン一番搾り」六〇〇円
…自動二輪車の十六人組の集団に続いて中に入り、連中が間誤付いている間に、
先にそそくさと発注を済ませてしまおうと、女中さんを呼び止める。
麦酒、摘み、蕎麦をサッと発注し、後はゆったりと過ごす。
麦酒は銘柄が選択出来る様で、味に拘りも無いので、「キリン一番搾り」で。
普段は酒を断っているが、旅の非日常、昼間なので影響も無いので一杯。
手酌でグイッと呷れば、久し振りなので苦味を感じつつ、背徳を味わう。
◎「ゆば刺し」八〇〇円
…摘みはと言うと、手っ取り早く出て来そうなのが此れしか無く、
且つ、日光と来れば、湯波が良かろうと発注。
山葵を乗せ、専用のテレレに浸けて頂く。
普段、此の手の物は滅多に頂かないが、大豆の風味が豊かで、
軟らかさと程好い歯応え、蕩ける食感、上品な味わいが素晴らしい。
◎「ざるそば」七〇〇円
…食事はと言うと、「かつ丼」も惹かれたが、一二〇〇円もするので、
此処は矢張り、無難に蕎麦を手繰ろうと、一番安価な笊蕎麦で。
特選された日光鹿沼産玄挽蕎麦粉を使用し、「いなりや」独特の製法に依り、
土の香りを賞味して欲しいと言う謳い文句だ。
蕎麦の色はロイクー気味で、中細程度の太さで、喉の通りは良いが、
腰は然程、強靭と言う感じは無く、普通と言えば普通か。
如何せん、僕は馬鹿舌なので、当てに成らないが…。
蕎麦つゆはと言うと、冷たい蕎麦は三種類の鰹節から取ったルーシーとの事。
屋久鯖枯れ節と言うが、何のこっちゃ、馬鹿舌では判別不可能だ…。
兎にも角にも、最後は蕎麦湯迄味わい、午後の平安祈願に備える。
~御負け~
大宮駅十一番線に入線の特別急行「日光」一号。
華厳の滝。
飛び込んでみたかった…。