◆「大黒鮨」【柴又】
…黄金週間後半の四連休も悲しいかな、今日で終焉を迎える。
何だか、一巻の終わりと言った気持ちに陥りそうな程だ…。
最後の日は大人しく静養に充てると言うのも妥当な考えだが、最後だからこそ〆たい。
と言う訳で、今日は僕が最も好きな街の一つである葛飾区は柴又へ。
此の街を初めて訪れたのは、小学校の時分に親に連れられて来たのが最初。
其の後、テレヴィヂョンで「男はつらいよ」が放送されると父が観ているのを見て、
何と無く其の世界観、街の空気感に自然と魅かれたのだろうか。
中学校に成ると同級生の今は亡きT君と、春と秋の年二度は柴又を訪れる様になる。
そして、昼御飯を摂ると言うと、柴又は天麩羅や、川魚料理の店が多いが、
寿司好きのT君と入ったのが此の「大黒鮨」で、彼是、二〇年以上は経つだろうか。
正午前に柴又駅に降り立ち、もっと混雑しているかと思いきや、若干、空いている印象。
そして、腹も減ったので、早速、此方の暖簾を跳ね上げる。
女将さんが何時もの様に、「あら~、暫くです~」と、僕の顔を覚えていて呉れるのが有り難い。
何時ものテーブル席に腰掛け、空間と美味を堪能しよう…。
何だか、一巻の終わりと言った気持ちに陥りそうな程だ…。
最後の日は大人しく静養に充てると言うのも妥当な考えだが、最後だからこそ〆たい。
と言う訳で、今日は僕が最も好きな街の一つである葛飾区は柴又へ。
此の街を初めて訪れたのは、小学校の時分に親に連れられて来たのが最初。
其の後、テレヴィヂョンで「男はつらいよ」が放送されると父が観ているのを見て、
何と無く其の世界観、街の空気感に自然と魅かれたのだろうか。
中学校に成ると同級生の今は亡きT君と、春と秋の年二度は柴又を訪れる様になる。
そして、昼御飯を摂ると言うと、柴又は天麩羅や、川魚料理の店が多いが、
寿司好きのT君と入ったのが此の「大黒鮨」で、彼是、二〇年以上は経つだろうか。
正午前に柴又駅に降り立ち、もっと混雑しているかと思いきや、若干、空いている印象。
そして、腹も減ったので、早速、此方の暖簾を跳ね上げる。
女将さんが何時もの様に、「あら~、暫くです~」と、僕の顔を覚えていて呉れるのが有り難い。
何時ものテーブル席に腰掛け、空間と美味を堪能しよう…。
◎「生ビール(中)」六三〇円
…早速、腰を落ち着けた所で麦酒を発注。
駅寄りの硝子戸を少し開け、外気を取り込み、街の空気を五感で愉しむ。
そして、休日の醍醐味である昼酒をじっくりと愉しむ。
「ヱビスビール」をグイッと呷れば、苦味が心地好く、喉を通って五臓六腑に染み渡る。
嗚呼、何て最高なんだ。
店内は昭和の佇まいで、時間がゆっくりと揺蕩う様に流れている。
テレヴィヂョンでは、帯広で雪が降っていると伝えている。
此方柴又は半袖で十分な程に清清しい陽気で、昼酒を頂くには持って来いだ。
御通しは子持ち槍烏賊。
中にびっしりと卵が詰まっており、プリン体フェチには堪らない。
◎「特製にぎり」一五〇〇円
…さて、シースーを発注しよう。
初めて訪れた時から数年前迄は「上すし」を頂いていたが、「日替わり限定品」と称された、
「特製にぎり」と言うメニューが新設されてからは専ら此れだ。
「上すし」は七貫と鉄火巻きが付くが、此の「特製にぎり」は七貫と玉子が付く。
昨晩、「鮨処 いっしん」でさんざっぱら寿司を頂いたが、日が改まれば話は別だ。
寿司なら毎日でも良い程なので、何ら問題は無い。
先ずは玉子から。
貧乏性なので、好きな物は最後に残す性質なもので…。
ふんわりとした甘味なので、甘い物が苦手な僕でも嫌味を感じず、酒の当てとして十分に成立する。
お次は烏賊を頂こう。
何時もの様に、表面がバツっとした甲烏賊に分類される物を想像したが、
噛むとねっとりとした柔らかさが有り、寝かされて甘さがじんわりと浮かび上がって来る。
光物の小鰭が眩いので頂く。
此の四連休は鯵の押し寿司を二度頂き、昨日も小鰭を頂き、〆た物を散々頂いたが、
此の酸味と塩気が心地好く、身体にスッと入って来る感覚が良い。
白身は真鯛を行ってみよう。
皮目は湯引きされ、身はしっとりと柔らかく、旨みが存分に詰まっている。
おっ、今回は青柳が入っているではないか。
シャキシャキとした歯触りで、磯の香りが鼻からフッと抜ける。
馬鹿貝と呼ぶには失礼な旨さだ。
続けて高級貝の赤貝様を頂こう。
見た目は卑猥で、味も良いと成れば文句は無い。
コリッとして、更に噛むとクニュッとして、プリップリで最高だな。
最後に二貫残したのは中トロ。
身は分厚く切られ、そして、口内の温度で脂がヂワヂワ溶け出し、身悶えしそうな旨さだ。
上品な鮪の脂と言うのは絶妙だな。
◎「サバの押しずし」七五〇円
…此方では握り寿司の他に必ず頂くのが此の鯖の押し寿司。
店内の貼り紙には「お土産に」と記されているが、店内で頂かせて貰っている。
〆鯖には如何しても魅かれてしまうな…。
〆鯖はバッテラの様に、表面には白板昆布が乗り、酢飯の間には生姜と椎茸の煮た物が挟まっている。
鯖は〆過ぎておらず、赤味が残り、鯖本来の味が損われていないのが素敵だ。
身が真っ白く成ってしまっている様な〆鯖は酸っぱいだけで身もパサパサだしな…。
酸味も適度で、鯖と生姜との相性が不思議と合い、椎茸煮の甘味と巧く調和している。
前述の通り、此の四連休は鯵の押し寿司を随分と頂いたが、矢張り、鯖には適わないな。
酒が進み、麦酒をもう一杯御替わりし、外の街の喧騒と、店内の雰囲気を体感し、
此の空間にも対価を支払うとしたら十分に御釣りが来よう。
嗚呼、此の街、此の店は疲弊した心身を癒して呉れる貴重な場所だ…。