◆「宮原元気酒場 もつ焼 エビちゃん別館」【宮原】
…昨晩。
待望の、唯一の生きる希望である週末の休日。
然りとて、何かをする気力、体力は丸で無く、日がな一日、ゴロゴロして過ごす。
非生産的、自堕落極まりない暮らしに、我乍ら嫌気が差す…。
晩は、思い切って焼肉を頂きたいなと思い、普段は滅多に外で呑まないが、
宮原の街へと出掛けるが、独りぼっちを入れて呉れる焼肉屋は無いので断念…。
少しでも肉肉しい物をと、以前は足繁く通った「大宮酒場 もつ焼きエビス参」、
「宮原酒場 もつ焼きエビス参」の支店の此方に初訪店。
其の昔、毎週の様に通った「和匠喜酒 かもん」の跡地。
店内に入り、カウンター席にヨッコイショーイチ。
◎「ホッピーセット(白)」四九〇円
…先ずは酒を発注するが、御決まりの初っ端からホッピー。
其れにしても、若い女中さんは、其れはまあ、可愛いの何の。
若いって、素晴らしいわ。
世の中、焼鳥はタレ、ホッピーは白、春は曙、ギャルは黒と相場が決まっている。
然し、白いギャルで美しい方も居るのね。
おぢさん、吃驚…。
冷めた仕草で熱く見て、ホッピーをグイッと呷る。
御通しは酢モツ。
◎「タン刺し」五五〇円
…さて、摘みはと言うと、肉刺し的な物だ。
「大宮酒場 もつ焼きエビス参」に昨年九月十五日に御邪魔して以来なので、
実に一年振りの御対面と成ろうか。
胡麻油の効いた特製の醤油ダレで頂く。
コリッと引き締まった食感が特徴的だが、限り無く生に近い口当たりで、
しっとりと、其れこそ舌と同化しそうな感じで、豚とデープキッス。
卸大蒜たっぷりに、熱いヴェーゼを交わす…。
◎「ハラミ刺し」五八〇円+「レバ刺し」四八〇円
…続々と肉刺し的な物が遣って来る。
勿論、件の美しく若い女中さんが、愛想良く配膳して呉れる。
レバ刺し的な物は、表面は火が入って白茶けて居るが、中はと言うと、
何とも卑猥で、肉襞を思わせる血液色素で、胡麻油と塩で頂けば、
口内でトロンと蕩け、ねっとりと濃厚な味わいで、コリッとした歯触り。
嗚呼、懐かしいと言うか、待ち望んだ味と言うか、当時の様に頻繁に頂きたい。
腹身はと言うと、ムチッとした肉肉しさで、ひんやりとした口当たり。
肉片から染み出す旨味を噛み締める様に、じっくりと味わう。
◎「生ハム入りチーズクロケット」
…ホッピーも四杯目に突入したので、温かい物も頂いて置こう。
普通ならば「タコ唐」なのだが、気に成る献立を壁に見付けたので。
値段が書かれていないので怖いが、まあ、一〇〇〇円はしないだろう…。
真ん丸の狐色の揚げ物に齧り付けば、熱熱で猫舌泣かせだが、
ズーチーのコクが有り、生ハムは然程の存在感は無いが、何ら問題は無い。
◎「鮮馬刺し」九八〇円
…さて、少し温まった所で、豚だけでなく、馬も頂いて置こう。
馬は正真正銘、火を通していない生だ。
長野県の血が半分入っている人間としては、馬刺しは特別な感じがする。
此方は卓上の醤油で頂くが、少々、脂が入り過ぎている所為か、
筋張って硬い印象だが、馬味のガムを噛んで居ると思えば良い。
脂がトロンと溶けて、円やかさが広がる。
ホッピー六杯を頂き、件の綺麗な女中さんに御見送りされて外に出れば、
雨が降り始めており、そして僕は途方に暮れる…。