続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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『A LONG VACATION From Ladies』/V.A.

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★『A LONG VACATION From Ladies』/V.A.


…先日、豪い久し振りにコンパクトディスクを購入する。
 と言うのも、我が心の父・大滝詠一師匠の歴史的名盤『A LONG VACATION』が、
 アルバム一枚そっくり其の儘、一〇名の女性歌手によってカヴァーされると言う、
 今迄有りそうで無かった画期的なアルバムが十一月四日に発売されたので…。
 師の様々な曲をカヴァーした物を一枚に編纂した物は此れ迄も有ったが、
 アルバム一枚をカヴァーと言うのは、他の歌手の物でも少ないのではなかろうか…。
 然し、個人的に、此の手のカヴァーはオリジナルを超える事は不可能だと思っている。
 其れは、此の『A LONG VACATION』は僕の中で史上最高、不世出のアルバムで、
 無人島に持って行きたいアルバムの一枚である程、思い入れが強いから尚更そう思う…。
 因みに、他の“無人島レコード”は、E.L.O.の『OUT OF THE BLUE』と、
 Phil Spectorの『A CHRISTMAS GIFT FOR YOU』。
 まあ、文句を垂れていても仕方が無いので、先ずは聴いてみる。
 僕の中で、E.L.O.の「TWILIGHT」と並び、此れを超える曲は現れないと思っている、
 「君は天然色」は、師がシュガーベイブのプロデューサーとして世に出した大貫妙子女史がカヴァー。
 女史のほんわかとした歌声からは此の曲との取り合わせが想像出来なかったが、
 チェロの音色からイントロが始まり、弦がバックを支え、歌が始まれば、正に大貫妙子色満開。
 原曲は夏を思わせるが、一気に春の陽気の様な装いに変わる。
 此のアルバムのリード曲は、今井美樹の歌う「カナリア諸島にて」。
 此れも又、今井美樹らしい世界に包まれた仕上がり。
 ドラムが上原“ユカリ”裕と言うのも良い。
 う~む、中々、悪くない…。
 個人的に出色だったのは、マニアックな所で「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」。
 勉強不足で申し訳無いが、行川さをりと言う御仁がカヴァー。
 ジャズは詳しい事は分からないが、曲調はジャズアレンジと言って良いのだろうか。
 ヴォーカルは、悪く言えば抑揚の無いのっぺりとした唱法だが、何だか心地好い。
 英語の発音も抜群で、耳にしっくりと来て、此のアルバムの中で最も聴いている。
 尾崎亜美が歌うのは「雨のウェンズデイ」。
 そして、オリジナルの『A LONG VACATION』の「FUN×4」の中で、
 「散歩しない?」と声の出演をした太田裕美が、今度は「FUN×4」を歌う。
 勿論、太田裕美版の「散歩しない?」の声の出演は御大自ら、重たい腰を持ち上げて登場。
 其の割りには、湯船に浸かって鼻歌の様な「散歩しない?」には笑ってしまう…。
 アルバム全体として、通して聴くには良いかも知れない。
 全員女性なので、ガツンと来ない物足りなさは有るが、此れは此れ、其れは其れ。
 ジャケットデザインも永井 博氏の書き下ろしで、発売から二十八年経っても全く色褪せない、
 此のアルバムの偉大さを痛感する。

『A LONG VACATION From Ladies』/V.A.
 1.君は天然色大貫妙子
 2.Veivet Motel/金子マリ
 3.カナリア諸島にて/今井美樹
 4.Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語/行川さをりfromジュライム
 5.我が心のピンボール/イシイモモコfromハミングキッチン
 6.雨のウェンズデイ/尾崎亜美
 7.スピーチ・バルーン/原田郁子fromクラムボン
 8.恋するカレン/つじあやの
 9.FUN×4/太田裕美
10.さらばシベリア鉄道鈴木祥子
11.Blue Niagara(Epillogue Instrumental)/Akira Inoue
(初回盤DVD)
 1.カナリア諸島にて/ポエトリー・リーディングby今井美樹
 2.恋するカレン/ポエトリー・リーディングbyつじあやの
 3.Velvet Motel/レコーディング・セッションby金子マリ