続・ROCK‘N’ROLL退屈男

続・ROCK‘N’ROLL退屈男 B面⇒https://twitter.com/RandR_taikutsu

「和匠喜酒 かもん」【宮原】


 …金曜日。
  終日の横浜での仕事を終え、乗り合いバス、相鉄線湘南新宿ラインを乗り継ぎ、
  草臥れ果てて宮原駅へと辿り着き、折角の週末なので、錆落としに出掛ける。
  まあ、行く当ては此方と相場が決まっているので仕方無く…。
  店に入ると、一階席は珍しく混雑しており、正しい金曜日の晩の光景が広がっている。
  大概、給料日は都内や大宮等の大歓楽街で呑んで来る人間が多い所為か、
  閑古鳥が啼いているのが普通だが、何てこったい、僕の座る席すら無い。
  と言う事で、階段を上がり、他に一組しか居ない二階席でゆっくりする事にする…。

 ◎「生ビール(中)」五五〇円
 …秋分の日を挟んで一日のみの労働だが、此の日もしっかり仕事を熟す。
  上司から衝撃的な報せが齎され、少し酒の力も借りてみる…。
  幾ら涼しくなったと世間様が騒いでいるが、僕としては未だ夏。
  麦酒がとことん旨い季節である事に変わりは無いので、麦酒でしっかり水分補給。
  喉、食道を通って、五臓六腑に染み渡る感覚が堪らなく心地好い。

イメージ 1
 ◎「まぐろ造り」九八〇円
 …麦酒も二杯目の終盤に差し掛かった頃、一階席の何時もの席が空いたとの報を受け、
  一階席に移動し、仕切り直しで新たに呑み始める。
  ショウケースは寂しい限りで、目欲しい魚の姿が見当たらない。
  道理で、御薦めを記したメニューには、「豚バラ串焼」等の家畜系メニューしか載っていない…。
  常時有る鮪ならば良いのが有ると言うマスターの口車に乗り、其れを発注。
  乗り掛かった笹舟、否、泥舟だ…。
  其れは兎も角、肝心の鮪はと言えば、見るからに美しい中トロ。
  此れを喰らうと、噛むと歯が減り込む様な食感で、身の密度の高さが窺える。
  引き締まっていると言うか、解凍してビチョビチョなんて事は有り得ず、最高に旨い。
  脂も口内の温度でトローッと蕩ける様で、肌理も細かく、執拗さが全く無い。
  食べ終わると脂の甘味の余韻がふんわり残り、何時迄も食べ続けたい程…。
  矢張り、鮪は魚の王様たる所以をまざまざと見せ付けられる。

イメージ 2
 ◎「真鯛の天ぷら」六五〇円
 …二十二時近辺に成り、俄かに客が押し寄せ、二階席が賑わっている様だ。
  其処で天麩羅盛り合わせの発注が有った様で、揚げる序にと、僕にも誘いが廻って来る。
  真鯛の天麩羅を喰わないかと…。
  何度も言うが、乗り掛かった笹舟、否、泥舟だから…。
  普段は天麩羅は必ずと言って良い程に天つゆで頂くのだが、今回は塩にしてみる。
  と言うより、マスターに「塩で良い?」と訊かれ、「天つゆが良い」と返すのが億劫だったので…。
  半ば酩酊状態で、天麩羅に喰らい付く。
  齧ると身はホックホクで、真鯛の身の甘味が強く感じられる。
  此方では過去にハマチ等の魚の天麩羅を数々頂き、其の旨さを改めて実感させられている。
  歳を取ると魚が落ち着くわぃ…。

 此の日は麦酒五杯を頂戴し、後半はカウンター席に突っ伏して居眠りし、店長T氏の自動車で帰宅…。