続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「ジャンプ」【一ノ割】

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◆「ジャンプ」【一ノ割】
 
 ◎「ラーメン(中盛)」七八〇円+「豚増し」二〇〇円
 
 …もう、本当、休日だけが愉しみで、毎日が苦痛で仕方無い。
  何の為に生まれて来てしまったのだろうかと、悔やんでも悔やみ切れない。
  こんな不遇な毎日を送るだなんて、生きてる値打ちも有りゃしない…。
  宝籤が当たる事を夢見ているが、買う資金も無いし、買うのが億劫。
  其れじゃ、駄目じゃん!
  相変わらず、僕が駄目だった所で、本題に戻ろう。
  昨晩は二十二時に仕事を終え、金曜日、土曜日が連休と言う浮かれ気分から、
  本厚木駅から贅沢にも、ロマンス車「さがみ」九十四号に乗車する。
  勿論、缶麦酒を買い込んで…。
  途中、町田、向ヶ丘遊園に停まるだけだが、時間は急行と大して変わらん…。
  帰宅後は晩酌がてら晩御飯を済ませ、午前一時半に寝床に入れば即死状態。
  疲労で寝付きの良さだけは、のび太並みだ。
  夜中に悪夢に魘されるのは毎度の事で、朝は八時過ぎに起床。
  広縁に出て、目高の餌遣りをすれば、秋風が肌寒く、暑がりの僕でも震える。
  西野カナみたいには震えないが…。
  午前中は極めて自堕落に過ごすが、昼御飯は固く心に決めた物が有る。
  先日、「ラーメン二郎 大宮店」で暴力的なラーメンを頂き、
  此の手のラーメンが食べたいと言う欲求に火が点いてしまい、
  寝た子を起こした様なもので、今度は春日部の「ジャンプ」と決めていた。
  数日前から、以前に頂いた此方のラーメンの写真を見返してみる。
  ショウウィンドウのトランペットを羨望の眼差しで見る黒人少年の様に…。
  矢も楯も堪らず、一〇時四〇分には家を飛び出し、一路、春日部へ。
  渋滞に嵌りつつも、開店直後の十一時半には到着し、駐車場も何とか確保。
  店内に入れば、改装をした様で、厨房を削り、客席が四席増えている。
  券売機に向き合い、「ラーメン(中盛)」と「豚増し」の食券を購入。
  建て増しされた新しいカウンター席に空きが有るので、冷水を汲み、
  透かさず着席し、食券を提示し、厨房内を見れば、目と鼻の先に店主が。
  中々に緊張感の漂う席で、心して掛からないといけないな…。
  厨房内の人員は助手が一名増え、ぴんからトリオと同じ編成に。
  三人に成ったと言いたいだけよ…。
  開店直ぐの麺茹でには間に合わなかったが、二度目には入り込めそうだ。
  一〇分程で、先に入った、「まぜそば」発注の客よりも先に、
  「ラーメン」を発注した僕に、トッピング伺いの声が掛かる。
  逸る気持ちを抑え、至って冷静を装い、「全増し、味玉で」と告げる。
  そして、銀の盆に乗せられた、重量感の有る丼を受け取る。
  おおっ、此れが、此の数日間、魘される程に夢見たラーメンだ。
  六月五日以来、四ヶ月半振りの対面に、泣けて来そうに成る。
  居ても立っても居られず、蓮華を手に取り、プースーにスッと沈める。
  其れを掬って啜れば、空腹の腕白中年の舌を見事に撃ち抜く。
  ズッキューン、バッキューンだ。
  醤油ダレの酸味を帯びた味わいが感じられるも、其の角を取るかの様な、
  まったりとした、濃厚、濃密な、適度に乳化したスープが最高に旨い。
  思わず、四口立て続けに啜り、唸ってしまう。
  僅かにとろみが有り、舌を優しく包み込む様にして纏わり付く感じが良い。
  野菜に取り掛かる前に、卓上の醤油ダレをドヴァっとぶっ掛ける。
  野菜の茹で加減は言わずもがな、シャキシャキとクタクタの中間。
  茹で立ての熱熱でなかったのが、猫舌だと最近知った中年には有り難い。
  萌やしとキャベツの食感の端々に、葱のショリショリした食感が顔を出す。
  此の手の「二郎」系と呼ばれるラーメンには葱が入る事は先ず無いので、
  此の食感と、葱の風味、味わいが新鮮に受け止められる。
  此れに、背脂のプルプルしたゼラチン質が加われば、文句無しです、奥さん!
  麺を奥底から引っ張り出し、手繰り、啜り上げる。
  見るからに縮れが効いている極太麺は、強靭な腰と弾力が感じられる。
  店主が当時居た「ジャンクガレッジ」の「浅草開化楼」の特注麺の頃の様。
  啜る度に唸りを上げる様な力強い麺に、ワッシワッシと喰らい付く。
  刻み大蒜も麺に絡んで来て、僕の活力源である栄養素を摂り込む。
  大蒜を摂ると、何だか元気に成った気分に成るのよね。
  飛鳥涼も大蒜にしておけば良かったのに…。
  其れにしても、プースー、麺、此の組み合わせが絶妙過ぎて堪らない。
  後は、豚が加われば、最高のNIAGARA TRIANGLEの完成だ。
  バラ肉を巻いた豚は、プースーに浸され、煮崩れしそうな程に蕩けている。
  いざ、齧り付けば、トロットロ、ホロッホロ、プルンプルンのフワッフワ。
  嗚呼、此れぞ、「ネ申月豕」だ。
  何だろう、世の中にこんなに旨い豚料理が有るんだと教わる。
  赤身四割、脂身六割の部位が堪らなく最高で、悶絶して、座り小便しそう。
  「ラーメン 二郎」の様に当たり外れの波が無く、安定して何時も旨いもの。
  此の豚だけを目当てに、遠路遥遥、春日部迄、車を飛ばして来る価値有り。
  此の豚をずっと噛み締めて居たい程だが、簡単に蕩けてしまうのよ。
  味玉も黄身がピュッと飛び出そうな程に軟らかく、至高の一品。
  「ラーメン(中盛)」+「豚増し」、此れを頂き、満腹感を味わえば、
  丸で、映画一本を観終えた様な満足感、充足感すら感じられる。
  此方では「まぜそば」を発注する客が大概だろうが、矢張り「ラーメン」だ。
  「ラーメン」を嗤う者は「ラーメン」に泣くだろう…。