◎「ぶた入りラーメン」八〇〇円
…水曜日。
前日、「鮨処 いっしん」で齎された衝撃から一夜明けるも、俄かに信じ難く、
朝から吐き気が酷く、不安感、緊張感に苛まれ、ぐったりと気疲れしている…。
此の日は朝から池袋に出掛け、午後から蟹工船に乗船予定。
前日の話が、朝からずっと頭の中を渦巻き、気も漫ろと言うか、集中力も欠け、
心が震えっ放しで、油断をすると涙が出そうだ…。
残務を熟し、十二時半を過ぎ、取り敢えず外に出る。
悲しいかな、胸は一杯だが、腹は減っている。
前夜、寿司も余り喉を通らなかったので、空腹感は解消されていない。
自分を奮い立たせる意味でも、此処は一発、元気を出そうと、
毎度の此方で、ガッツリと暴力的なラーメンを頂いて、気分転換しよう。
店に着けば先客七名。
回転は早いので行列に接続し、五分程で券売機で食券を購入し、店内待機。
二週間振りの訪店だが、夏休みも終わり、餓鬼を連れた客も居ない様で助かる。
程無くして、麺の硬さを訊かれ、「普通で」と返し、温い水を汲み、
更に五分後、カウンターの角っ子の席に腰掛ける。
厨房内は何時もの二人に一人が加わり三人体制。
厨房内の遣り取りも相変わらず興味深い。
さて、無料の乗せ物を訊かれ、「野菜、脂で」と、大蒜を入れられない悔しさ、
情け無さに慣れつつも、何時か、此方で大蒜を入れて食べたいと願う…。
丼を受け取り、手元へと下ろし、蓮華を取り、先ずはプースーから。
おっ、何時もより温度が高く、熱熱で旨いぞ。
其れも其の筈、表面には分厚い油層が構築されており、コッテリ感が強い。
嗚呼、旨いとばかりに、立て続けに五口啜る。
乳化度合も程好く、醤油ダレのすっきりとした塩気も感じられる中程度の乳化。
何回か、微乳化が続いたので、此のコクは胃袋に染み入る感じ。
野菜には卓上の醤油ダレをドレッシング感覚でぶっ掛けて頂く。
背脂がゴロゴロと乗っかり、其の旨味と甘味も同時に堪能する。
野菜はシャキシャキ寄りで、茹で加減も何時も通りだ。
此方で褒めたいのは麺だ。
硬めにしなくても、普通で十分に腰と弾力が味わえる自家製麺は、
食べ出が有り、喰らい付く様にして啜り、小麦の風味も確りと伝わって来る。
噛み応え、食感が秀逸で、噛む毎に愉しい、そんな麺だ。
豚はと言うと、派手さは無く、特筆すべき絶賛する様な軟らかさも無いのだが、
赤身の部位の程好い硬さと、脂身のプルンとした感じ、確りとした味付け、
此れ等のブレが少なく、何時頂いても、ちゃんとしている印象。
菅官房長官並みの安定感とでも言おうか。
頂く前迄は気が重たかったが、頂いたら少しは元気が出ただろうか…。
