◆「麺処 花田」【池袋】
◎「味噌つけめん」八九〇円
…火曜日。
一週間は如何してこんなにも永いのだろうと、丸で、先が見えないかの様だ。
矢鱈と疲れ易く、身体もそうだが、脳味噌と心の方が疲労困憊。
今週は未だ平穏な部類だが、心がぞみぞみする事は多々有る。
こう言う些細な事の積み重ねが、ぢわぢわと蝕んで来て、胃の痛みや、
脱毛に繋がり、風呂上がりに久し振りに頭頂部を合わせ鏡で見てみると、
何ちゅうか本中華、生まれ立ての雛と言うか、死に掛けの毬藻と言うか。
直ぐに育毛剤を購入し、頭皮を労わらざるを得ない始末で、参ったね、此りゃ…。
さて、話は遡って火曜日。
此の日も粛々と日常の業務を熟し、十四時を前に、唯一の息抜き、気分転換に、
外気を吸いに、昼御飯を摂りに、池袋の街を彷徨く。
何と無く、味噌の気分の為、駄目で元元、此方に伺えば、何たる幸運か。
待ち客は殆ど居らず、一名のみと言う奇跡で、直ぐ様、店内に入り、
券売機で何時もの食券を購入すれば、女中さんが、僕の押した釦を見て、
「つけめん一丁~!」と厨房内に伝え、食券を回収する。
「野菜、半ライスで」と、此れ又、何時も通りに御願いし、二番目に接続。
一分程で店内に案内され、L字型のカウンター席の角っこにヨッコイショーイチ。
厨房内は社長は居らず、相変わらず、常時五、六人の従業員で廻している。
出来上がりをヂッと待っていると、入口が俄かに騒々しく成り、
「トンナンシャーペー、イーアルサンスー、チンジャオロースー」と五月蠅い。
見れば、中華人民共和国人がどやどやと六人連れで襲撃の様子。
此の決して広くはない此方に、十四時過ぎとは言え満席、日本語が通じない、
一家総出で、一族郎党引き連れた挙句、御近所御誘い合わせの上来られちゃ、
対応する女中さんが不憫で、心より御悔み申し上げたい…。
そんな習近平ファンは放って置いて、先月十七日以来、十三日振りの御対面。
こうして定期的に頂けるのは有難い。
蓮華を退かし、麺を手繰り、つけ汁にどっぷりと浸して啜る。
粘度が高いドロドロのつけ汁は、大蒜のパンチが微かに伝わり、
厳選された拳骨、鶏ガラ、モミジを合わせて煮込んだ後、豚足、
背脂を入れたスープに細かく切った玉葱、人参、長葱の青い部位、
じゃが芋、出汁昆布を加え、野菜を潰し乍ら六時間以上煮込み、
スープを一日冷やして完成させると言う、「花田系」と謳う濃厚な味わい。
此れに、大蒜を追加出来ないのが悔しいが、無くても十分に美味しい。
炒め野菜で口内を火傷し、上顎の甘皮がヴェロンと捲れたりしつつも、
新規開店当初の二〇一〇年から何度も通い、惚れ込んだ味を堪能する。