◆「和食 魚山人」【赤羽】
…昨晩。
三連休を迎える前日、金曜日の晩からサザエさん症候群を患い始めると言う、
不治の病の恐ろしさを味わい、初日の土曜日の日中は布団の中で戦慄く…。
十七時にむっくり起き出し、珍しく外で呑もうと言う気にさせて呉れる店、
板橋の「やきとん やんぐ」に予約をして出掛け、一頻り、酒とモツを堪能。
大人しく、其の儘帰れば良いのだが、滅多に夜に外出する事も無いので、
折角なので寄り道しようと、レッドウィングでぶらり途中下車の旅。
昔、日進に在った「和彩楽酒 かもん」に二〇〇八年四月十八日に初訪店以降、
二〇〇九年四月七日に「和匠喜酒 かもん」として宮原に移転後も毎週通い、
二〇一一年一月七日に閉店後は、川口の「季風亭」に移ってからも数度通い、
戸田公園の「中華旬彩酒家 ぼんぼん」には一度だけ御邪魔し、
其の後は御無沙汰していたマスターが任されていると言う此方へ顔を出す。
◎「蕎麦茶割り」三八〇円
…屋号を頼りに何とか辿り着き、二階へと階段を上がり、木戸を開けて店内へ。
直ぐにマスターが、当時とは随分と肥えた僕でも気付いて呉れ、「おおっ、
〇〇!」と言う声で迎えられ、カウンター席にヨッコイショーイチ。
カウンター七席、四人掛け席一つ言う、小ぢんまりとした隠れ家の様な和食店。
一通り挨拶を済ませ、酒を発注するが、一頻り呑んだ後なので、蕎麦茶割りで。
御通しは相変わらず気が利いた、穴子と薩摩芋と小さい蕃茄の天麩羅を藻塩で。
◎「長芋のにんにく醤油漬け」三八〇円
…一軒目、腹の空いた状態だったら、絶対的に刺身から頂くのだが。
常設の献立「まぐろ脳天とホホ肉炙り刺し」も有り、此れ等を盛り合わせた、
「刺身盛り(一人前)」が九八〇円と言うから、出来る事なら胃袋を空けたい…。
他の客は漏れ無く「刺身盛り」を発注していた程。
残念だが、さっぱりと「長芋のにんにく醤油漬け」に惹かれて発注。
一瞬、麺麻かと見間違えたが、さっくりとした長芋が確りと漬かっている。
此れは自宅でも再現出来るかも知れんな。
◎「酢〆サバ焼」六五〇円
…折角なので、魚をと思い、御薦めの中から魅惑的な物を見付ける。
酢で〆た鯖を焼いた物、即ち、〆鯖の焼いた物だろうか。
「やきとん やんぐ」で絶品の「浜〆サバ刺」を頂いたので、序に持って来い。
檸檬を搾り、大根卸に醤油を垂らして頂く。
箸で突いて、一口頬張れば、正に焼き〆鯖で、焼き鯖に酸味が効いた感じで、
鯖の脂がさっぱりと感じられ、此れは新感覚の焼き魚だ。
◎「金目鯛スープと焼きおにぎり」七八〇円
…十八時半から呑んでいるので、すっかり疲れてしまい、そろそろ〆よう。
〆物も魅惑的で、「濃厚チーズリゾット」、「金目出汁つけ麺」、
「秋田稲庭うどん」、「ジャコと焦がしバターのパスタ」なんてのも有る。
如何やら、「金目鍋」と言うのが売りの様なので、其れに即した物が良かろう。
と言う訳で、御飯と汁物が出て来るであろう此れを発注。
白濁した金目鯛の出汁と思しきプースーは、旨味しか抽出されていない様な、
濃厚で滋養たっぷり、出汁の旨味が強く、鯛の王様だな。
其処に、別皿の削り節を投入し、更に鰹出汁を凝縮させてみる。
金目鯛の身も勿論入っており、ふっくらとして軟らかい。
柚子胡椒も少し入れ、香りを付けて頂く。
裸の大将宜しく、焼き御握りを齧り、金目鯛のプースーで押し流す。
和食屋の〆らしい、何とも贅沢な最後だ。