◆「やきとん やんぐ」【板橋】
…昨晩。
死ぬ迄は生きようと奮い立たせて呉れる、生きる希望の三連休。
初日の朝はゆっくりと八時過ぎに起き出し、一〇時にホスピタり、
帰宅後は極めて自堕落に、非生産的に、何もせずに過ごす。
晩はと言うと、折角の三連休なので、普段、めっきり外で呑む事は無くなったが、
そんな僕が、如何しても再訪したいと強く思った此方へ、予約をして出掛ける。
年末に一度、連れられて初訪店したが、モツ焼きの質が素晴らしく、
「旨い」と言うより「凄い」と唸り、二度目の今回はゆっくりと堪能したい。
十八時半に予約し、仄白く煙った店内に入り、席に通されてヨッコイショーイチ。
◎「ホッピー白」四三〇円+「テーブルチャージ」一〇〇円
…混み合う中、隙を見付けて、先ずは酒を発注。
一杯目に麦酒を呑む事も減り、初っ端から度数の高いホッピーを呷った方が、
効率的に酔え、燃費も上がるので最適だ。
焼酎は多目なので、致死量に近く、うん、手っ取り早く酔えそうだ。
◎「浜〆サバ刺」四八〇円
…ちゃちゃっと、摘みを発注してしまおう。
此方はモツ焼きのみならず、魚や洋風な摘み等、気の利いた物が多い。
其の中に、「鮨処 いっしん」閉店以降、すっかり頂く機会の無くなった〆鯖。
期待通りの味に、美味しくて笑ってしまう。
〆は浅めで、生鯖に近いが、酢で〆られた心地好い酸味も感じられ、
のっけから此れは凄いぞと愉しくなってしまう。
◎「盛り合わせ6本」五八〇円
…此方の「豚串」は、とんでもない品質にも拘わらず、一本一〇〇円なのが凄い。
頂きたい串が多いので、本来ならば単品で発注したい心持ちなのだが、
如何せん、年老いて食べられなく成って来たので、盛り合わせで御願いする。
先ずは「ハラミ」。
此れは前回初めて頂いて、旨さに引っ繰り返りそうになった逸品の一つ。
タレ、塩は御任せだが、此の「ハラミ」は味噌ダレで提供される。
むっちりとした食感と、軟らかさが同居し、大蒜風味の甘辛いテレレが絶妙。
続いては「タン下」。
豚の舌の根元の下側の部位で、もっと筋肉質と思いきや、さっくりとして、
軟らかい食感が有り、牛タンには負けるが、豚タンも良いじゃないか。
そして最後は「シロ」。
炭火で焼き上げられ、護謨の様で噛み切れないなんて事とは一切無縁で、
前回頂いた「テッポウ」よりは脂の乗り、蕩ける感じは控え目だが旨いな。
◎「レア!ハラミステーキ(おろしポン酢)」三八〇円
…此方の一押しの献立の一つである此れを頂こうと言うのも、今回の目的。
出て来た物を見て、此れで三八〇円と言うから、費用対効果は最高だ。
若焼きの豚の腹身は、表面は軽く焦げ目が付いて、カリッと香ばしく、
中は半生で、赤々とした肉襞を思わせ、しっとりとして軟らかい。
そして、大根卸にポン酢でさっぱりとつつも、揚げ大蒜がたっぷり入り、
コクとパンチも忘れて居らず、此れは凄いよ、凄過ぎるよ…。
◎「タン刺し」三八〇円
…未だ未だ、どんどん行ってしまおう。
肉刺しは「コブクロ」、「タン刺し」、「ハツ刺し」、「肉盛り合わせ」。
其の中から勿論、豚とデープキッス、熱いヴェーゼを交わしたい。
低温調理の豚タンは、部位が二ヶ所盛り合わされている。
先ずは、奥の赤い部位を、胡麻油と塩、卸大蒜で頂く。
コリッとした確りとした歯応えと、ねっとりとした強い旨味が秀逸。
白い部位はより軟らかく、鮪で言えば中トロの様な感じ。
「もつ焼きエビス参」も勿論、軟らかくて旨いが、七切れで五〇〇円、
此方は八切れで三八〇円なので、此れ又、凄いとしか言い様が無い。
◎「マッシュルームサラダ」三八〇円
…少し、箸休め、一旦休憩も兼ねて、趣きを変えて葉っぱを発注。
西洋松茸を使った葉っぱが有る様なので、物は試しに。
萵苣、水菜、西洋松茸に、さっぱりとしたテレレと粉チーズが掛けられている。
酸味が有り、口内が再起動される。
◎「チレ」一〇〇円+「レバー」一〇〇円
…さて、そろそろ後半戦。
前回、訳も分からずに連れられて来て、最初に頂いて衝撃を受けた物を頂こう。
先ずは、稀少な「チレ」。
脾臓は鮮度が悪いと臭味が出てしまうが、ふわふわとした軟らかい食感と、
確りと付着した網脂が素晴らしく、ぷるんとして濃厚。
「レバー」は、前回はタレで出て来たが、今回は胡麻油と塩と葱。
中は半生でトロントロンで、鮮度が良くないとこうは行かない。
此の界隈では有名と言う「やきとん ひなた」出身との事で、非常に人気が高く、
予約をしないと入れない程で、入れ代わり立ち代わり、回転も良く、
此の味を味わいたかったら、態々予約をして、遥々出掛けるのも合点が行く。
◎「シャリ金うめ割り」三八〇円
…ホッピーを三杯頂いた後は、前回の初訪店時に、言われるが儘に呑んだ此れを。
言わずもがな、凍った「金宮焼酎」に梅味の舎利別で割ってチビチビ飲る。
舎利別は入れ放題と言うのが良い。
◎「自家製つくね」二〇〇円
…さて、最後、大トリは此れと決めていた。
前回頂いて、余りの旨さに悶絶し、永遠に口内で味わって居たいと思った程。
表面はカリッと香ばしいのに、中はねっとり、ふっくらとして、
噛むとコリコリした軟骨の食感、馨しい紫蘇の風味、肉汁の旨味が詰まっている。
焼き鳥、焼きとんは断然タレなのだが、此れに関しては塩味でないと駄目だ。
此の塩加減が絶妙過ぎて、恐れ入谷の鬼子母神。
脱帽した上に、脱毛してしまいそうな程に参ってしまう。
ホッピー三杯、梅割り一杯を頂き、一時間半弱でサッと切り上げ、席を空ける。