…昨日。
此の日は、すっかり伸び切って、張りと腰が無くなった頭髪を模したヅラの維持、
管理、補修の為、表参道へ出掛けようと、重たい腰をドッコイショと持ち上げる。
十四時の予約を前に、先ずはパイイチ引っ掛けて、メンラーを啜りたい。
前回は原宿の「noodle stand TOKYO」に御邪魔したが、
今回は、昨年四月十四日以来、九ヶ月に高田馬場の此方へ。
鶴ヶ島に在った時分からのお気に入りで、定期的に頂きたくなる。
其れにしても此の街は、助平目的の同好会に所属しているであろうゆとり世代が、
うようよと湧き、蠢き、如何も据わりの悪い感じは否めない…。
◎「ビール」五五〇円
…木戸を開けて店内に入ると、空席も有り、すんなりと入れそうだ。
先ずは券売機で何時も通りの食券を購入し、カウンター席にヨッコイショーイチ。
おっ、店内には爆音でQUEENの「LIVE AID」の音源が掛かっている。
女王陛下崇拝者としては、此れを聴き乍ら、手酌で瓶麦酒を飲れるとは嬉しい。
御通しは例によって、叉焼の切り落としと麺麻。
テレレが掛かっており、蕩ける叉焼にポリポリの麺麻、素晴らしいわね。
◎「つけめん」七七〇円+「全部のせ」二三〇円
…厨房内には御店主の他、男性二名の計三名体制。
主に調理を任されているのは、顔立ちから、御店主の倅氏と思われる。
御店主の指導を受け乍らラーメンを拵えている。
そして、麦酒とQUEENの音に酔い痴れていると、つけ麺の御出座し。
券売機に「つけチャーシュー」一一五〇円の釦が復活していたが、
今と成っては大して量も頂けないので、叉焼も増さず、其の代わりに、
「全部のせ」で他の具を増し、勿論、無料の麺大盛りも自重する。
少しは堪え性が出て来たのかしら…。
さて、麺の上の具をつけ汁に移した所で、麺を手繰り、いざ啜ろう。
つけ汁は完全無化調を謳う、魚介と豚骨の合わせ技。
此方の豚骨スープは、豚の頭のみを使用し、只管、スープと睨めっこで、
丁寧な灰汁取り作業、火加減、スープの色、匂い、蓋の開閉を調節し、
豚の頭が砂状、粉状に成る迄、丹念に煮込んで混ぜると言う。
魚介スープは拳骨をコトコト八時間以上煮込み、此れも火加減の調節を行い、
魚をぎゅうぎゅうに押し込み、出汁が出たら急冷保存し、
豚の油に魚の香り付けをし、此の油でプースーに蓋をし、香りと旨味を保つ。
在り来たりな「またおま」系とは訳が違い、えげつなさが無く、優しい味わい。
鶴ヶ島時分よりも、無化調の優しみ溢れる味わいに仕上がっている気がする。