…昨晩。
日中は表参道に、伸び切って、張りと腰が無くなった頭髪を模したヅラの維持、
管理、補修に出掛け、大宮へ十七時半に舞い戻って来る。
此の儘、家に帰っても食糧が無いので、最近は滅多に外で呑まなくなったが、
給料日直後しか出来ない贅沢なので、大宮駅でぶらり途中下車の旅。
最近、すっかり牛タンに魅せられており、打って付けの店が年末に新規開店し、
目を付けていた此方へ初訪店してみる。
十八時前だが、一階は満席で、二時間制である旨を通告され、禁煙席を希望し、
二階へと案内され、一番奥の角っこの席にヨッコイショーイチ。
◎「サッポロ 黒ラベル」五二九円+「お通し」二七〇円
…初訪店か訊かれ、若い女中さんが御薦めを先ずは説明して呉れる。
一通り聞いた後、ルービーを発注し、景気付けをしたい。
昼間の瓶麦酒は疾うに抜けてしまい、改めて体内に注入したい。
都内の人混みに出掛けて疲労したので、グイっと呷れば身体が解れる。
御通しは、牛タンで拵えた肉味噌と言い、生の甘藍が添えられている。
◎「名物 茹でタン」一〇七八円
…女中さんの御薦めの説明にも有り、事前に予習して、発注しようと思っていた。
箸で切れると言うのを売りにしており、其れを体感してみよう。
熱い内に、山葵を塗して食べる様に促される。
箸で千切り、其の通りに従順に頂く。
独特の方法で軟らかく仕上げると言い、五時間じっくり煮込むらしい。
ホロっと解れ、優しい出汁をたっぷり吸い、たぷたぷとしてジューシーだ。
個人的には焼いたタンの食感が好きだが、寒い時期には温まって宜しいな。
牛タンの下の大根も軟らかく、味が染みて秀逸だ。
◎「牛タン焼き(厚切り牛タン)」一〇七八円
…此方の売りである牛タン焼きは、焼き上げに時間が掛かると言うので、
麦酒と一緒に発注していたが、思いの外、早く提供される。
企業秘密の独自の方法で軟らかくしているので、分厚く切っていると言い、
税抜き九九九円と言う費用対効果の良さが売りの様だ。
表面はカリッと香ばしく、さっくりとした食感と、適度な噛み応えで旨い。
流石に「利久」には及ばないが、味付けは塩胡椒で、酒が進んで仕方が無い。
脇にはきちんと「青唐辛子南蛮」、「白菜浅漬け」が添えられており、
南蛮味噌を塗して頂けば、此の辛味が程好く、米も欲しくなる。
◎「梅水晶」四三〇円
…何か少し、食感の変わった珍味を頂いてみたい。
そんな時は、酒呑みには御馴染みの此れ、梅水晶が嬉しい。
言わずもがなだが、鮫の軟骨に飛び子が入り、其れを梅肉で和えた物。
コリコリとした軽い歯触り、時折弾けるプチプチ、爽やかな梅の酸味。
此れを肴にちびちび飲るなんぞ、何とも乙じゃないか。
◎「塩レモンサワー」五二九円
…あっと言う間に麦酒が空いてしまったので、酒を替えてみよう。
ホッピーは無い様なので、酒での此方の御薦めである此れを行ってみよう。
何でも、牛タンとの相性が抜群で、「大井町店」では日に一〇〇杯出るとか。
呷ってみると、然程、塩気は感じられず、個人的にはもう少し濃い味だ好み。
其れにしても、飲み口がジュースの様なので、簡単に空いてしまうな…。
◎「牛タン焼き(厚切り牛タン)」一〇七八円
…折角御邪魔したので、確りと此方の名物を堪能しないと損だ。
一皿の量もそんなには多くないので、ペロッと頂いてしまう。
一皿目よりも牛タンが立派で、中がほんのり赤く、若焼きなのが良い。
此れ又、さっくりとして、先程よりも軟らかい印象で、杏里は悲しみが、
C-C-Bはロマンティックが、僕はと言えば、酒が止まらない…。
◎「豆モヤシのナムル」四〇九円
…ちょいと箸休めに、何か頂こうかしらね。
豆萌やしの朝鮮の和え物だが、枝豆が入っている。
あんな国由来の物を頂くのは、甚だ腹立たしいが、日本で拵えた物は赦そう。
胡麻油が効いて、さっぱりしつつも、物足り無さは感じられない。
◎「牛タン焼き(厚切り牛タン)」一〇七八円
…そう頻繁に牛とデープキッスも出来ないので、最後の〆にもう一皿発注。
一皿目<二皿目<三皿目と、発注する度に牛タンが立派に成って行く。
そして、肉質も軟らかく、脂も程好く乗り、三皿目でも悶絶する旨さ。
大宮駅構内の「利久BOWLS」で「牛たん焼(3枚6切)」を頂いたならば、
一二九六円なので、其の差を如何捉えるかは難しいが、分かった事は、
此方では、発注すればする程、良い牛タンが頂けそうだ。
麦酒一杯、「塩レモンサワー」四杯を頂戴し、一時間半足らずでとっとと御暇。
もう、長々、ダラダラと呑むのは疲れてしまって駄目だ…。