…昨日。
今週も生きる支えの週末の休日に漕ぎ着け、ホッと一息吐く暇も無く、
既にサザエさん症候群を患い、如何したもんかと苦悶する。
只でさえ心的警告反応が酷いのに、此れに暑さが加わり、苦痛でしかない。
一滴たりとも汗を掻きたくない、汗ばみたくもないので、此の蒸し暑さは地獄。
そんな颱風がいらっしゃると言う中、昨日は伸び切った頭髪を切り落としに。
十三時半の予約を前に、先ずは景気付けに一杯飲り、ラーメンも頂きたい。
最早、未訪の店を開拓しに態々出掛け、大行列だった日にゃ最悪なので、
もう、勝手知ったる御馴染みの店以外、御邪魔する気力も無い。
と言う訳で、鶴ヶ島時分からのお気に入りの此方は安心、安定の店…。
◎「ビール」五五〇円
…高田馬場駅に十二時一〇分過ぎに降り立ち、早稲田通りを東に急ぐ。
相変わらず、猥褻目的の同好会に所属している学生が多く、実に怪しからん。
そんな犯罪集団はさて置き、木戸を開けて店内に入れば、其れなりに混雑。
一通り食券を購入し、一番奥の止まり木にヨッコイショーイチ。
御店主に食券を手渡し、汗を拭って待ち、好く冷えた瓶麦酒を出して呉れる。
手酌で洋杯に注ぎ、熱中症予防の水分補給とばかりにグイッと呷る。
冷たい麦汁とプリン体が、勢い良く食道を駆け抜けて行く。
御通しは何時もの叉焼の切り落としと麺麻で、相変わらず素晴らしい出来栄え。
◎「つけめん」七七〇円+「全部のせ」二三〇円
…麦酒を半分程飲った所で、御待ち兼ねのつけ麺の御出座し。
麺が見えない程に覆い尽くされた具の数々が何とも頼もしく、心強い。
其れ等をつけ汁に全て移し、つけ汁の熱で軟らかさを取り戻させる。
やっと顔を覗かせた麺を手繰り、警戒水位を超えたつけ汁に浸して啜る。
つけ汁は完全無化調を謳う、魚介と豚骨の合わせ技。
此方の豚骨スープは、豚の頭のみを使用し、只管、スープと睨めっこで、
丁寧な灰汁取り作業、火加減、スープの色、匂い、蓋の開閉を調節し、
豚の頭が砂状、粉状に成る迄、丹念に煮込んで混ぜると言う。
魚介スープは拳骨をコトコト八時間以上煮込み、此れも火加減の調節を行い、
魚をぎゅうぎゅうに押し込み、出汁が出たら急冷保存し、
豚の油に魚の香り付けをし、此の油でプースーに蓋をし、香りと旨味を保つ。
其の豚骨と魚介のプースーを配合し、此の無化調の優しいつけ汁が完成する。
市井に溢れる下品なえげつない味わいの魚介系豚骨つけ麺とは一線を画し、
滋味たっぷりの棘の無い味わいが実に心地好い。
麺はと言うと、店内奥の「栗原製麺室」で打たれる自家製麺。
国産最高級小麦三種類を使用し、特別な粉末鹹水を使用し、
準強力粉と中力粉の配合で、ツルツル、モチモチ感を意識していると言う。
並盛りは、茹でる前は三五〇グラム、茹でた後は約七〇〇グラムと言うが、
啜り始めると、其の旨さに、スルスルと入ってしまう。
茹で時間に八分を要するが、ラーメンの麺と変わらない細さで、食感も良い。
さて、お次は具に移行しよう。
叉焼は特大バラ肉使用し、普通は板状のバラ肉を四分の一に切ると言うが、
此方では二分の一、即ち、倍の大きさで、厚さも極厚、一糎は有る。
二倍の大きさで肉をじっくりと、時間を掛けて煮込むとトロトロに成り、
肉を緩く巻き、煮込んでいる間に更に大きくさせると言う原価割れと言う代物。
今回の物は厚味は無く、薄い部類だったが、切り落としの叉焼が素晴らしく、
箸で千切れる軟らかさで、塗された辛味噌の辛味も宜しい。