続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「自家製麺 伊藤」【浅草(つくばエクスプレス)】

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 ◎「肉そば 小(焼豚4枚)」七五〇円
 
 …火曜日。
  夢の四連休が明ければ、有り触れた毎日に引き戻される。
  待っていたのは、溜まりに溜まった電子的書簡…。
  流石に三桁の量を処理するには、午前中の大半を費やす。
  其の上、今週は一日少ない分、週次業務が圧迫され、更には月次業務も重なる。
  休日は嬉しいが、其の後の事を考えると、堪らなく憂鬱だ。
  さて、話は遡って一昨日。
  機能回復訓練をし乍らと、悠長な事も言って居られない程に仕事が山積みだが、
  運良く、独りぼっちで昼御飯を摂りに出る機会に恵まれ、十四時の十五分前に外へ。
  当て所無く、取り敢えず、サンダーボルトゲート方面へと歩き出す。
  給料日前で懐も襤褸襤褸なので、比較的安価に旨い物が頂けると助かる。
  其処で浮かんだのが、「中華そば(小)」ならば六〇〇円の此方へ。
  四月十五日以来、五ヶ月振りの御無沙汰で、十五分歩いて辿り着く。
  店に到着すれば、相変わらず先客は無く、店外の券売機で食券を購入し、
  硝子戸を開けて店内に入り、御店主に食券を手渡し、ヨッコイショーイチ。
  矢張り、叉焼の入らない、葱のみの「中華そば」では寂しいので、
  性懲りも無く、何時もの「肉そば 小(焼豚4枚)」を発注してしまう…。
  五分と掛からずに丼が配膳されれば、煮干しの薫りで一気に華やぐ。
  プースーは「らーめん 改」の様なえげつない洋灰色をしている訳ではないが、
  此れだけサラッとして粘度が低いにも拘わらず、此の煮干しの風味は素晴らしい。
  先ずは蓮華を手に取り、其のプースーから啜ろう。
  煮干しの薫りが揺蕩う様に鼻腔を掠めて潜り抜け、口内では味覚が駆け抜ける。
  王子神谷の名店「中華そば屋 伊藤」の支店で、更に其の根本を辿れば、
  秋田県は角館の「自家製麺 伊藤」の流れを汲み、言わずと知れた名店。
  粘度は無く、サラッとした鶏清湯で、勿論、煮干しの風味は確りと感じるが、
  苦味や蘞味は無く、塩気も強くなく、均整の取れた絶妙な味わいに思わず唸る。
  九十九里産の煮干しをふんだんに使用したと言う、無化調の滋養たっぷりの味。
  そして、麺はと言うと、自家製麺と謳うだけ有り、実に素晴らしい。
  噛むとぽきぽき、こりこりと音がして、バツっと千切れる感覚は悦楽的。
  上の前歯と下唇で噛み切る瞬間の触感たるや、尿道球腺液が漏れてしまいそう…。
  いやはや、此の麺は凄いわね。
  具の焼豚と言えば、赤身の部位は程好い噛み応えが有り、脂身はぷるんとして、
  膠原質たっぷりの旨味溢れる物で、妥協の無い仕事振りに感服する。
  具は他に葱のみ。
  簡素でも、プースー、麺、叉焼の出来が素晴らしいので十分に満足だ。
  最後はプースーを飲み干すのを惜しむ様に、残らず確りと頂く。