…土曜日。
此の日から「ニッポン城めぐり」、「ケータイ国盗り合戦」の為だけに、
三河、尾張、美濃を巡ろうと、朝九時半過ぎには名古屋入りし、岐阜城を見学し、
味噌煮込み饂飩を啜り、食後は名古屋鉄道に乗車し、國寶・犬山城を観光。
此の日だけで二万歩以上を歩き、草臥れ果てて名古屋駅南口の旅籠に転がり込む。
小休止の後、十八時過ぎに慰労会も兼ねて外出。
別段、当ても無かったが、旅籠から程近い此方が手羽先で人気と言うので訪店。
然し、店外に待ちが数組居り、諦め掛けるも、此の疲労困憊で次を探す気力も無く、
名前を記入して外で待ち、十五分程で案内され、漸く酒に在り付く…。
◎「サッポロ生ビール(中)」五八三円
…長らく待った後、一階の一番奥まった席へと案内され、先ずはルービー発注。
首都圏以外はホッピーが無いので、其れが不便で成らない…。
さて、直ぐに麦酒が運ばれて来て、矢も楯も堪らず、グイっと呷る。
瓶麦酒の様な確りとした旨さは無いが、草臥れ果てた身体にはスーッと染み入る。
御通しは水雲酢で、鮭が入っているのが乙で、三杯酢の味が非常に宜しい。
◎「手羽先唐揚(5本)」五五〇円*二人前
…喉が潤った所で、主役の手羽先を発注しよう。
一皿五本入りと言うが、五本なんてあっと言う間なので、二人前で発注。
鶏の唐揚げ、健徳基揚げ鶏の類は大好きで、際限無く頂けてしまう。
そして、程無くして、鶏の羽根の付け根の肉が揚がって配膳される。
松崎しげる色にこんがりと揚がり、テレレを塗られて照りが増している。
四の五の言わず、素手で摘んで武者振り付くのみ。
表面はカリッと香ばしく、テレレの甘辛さ、塩胡椒の塩気が絶妙に絡み合う。
肉質の瑞々しさを残し、表面はパリッと二度揚げ、熟成タレを隙間無く塗り付け、
特選塩胡椒で仕上げ、胡麻を振ると言う工程で出来上がる。
皿の盛り付けは、手羽先の右と左を夫々分け、皮面を下に肉面を上にして、
扇形に並べると言う拘りだが、此の形状では部位が分からない…。
然し、唯一分かるのは、此れが旨いと言う事。
四種類の食べ方指南が書かれているが、兎に角、形振り構わずにしゃぶり付く。
◎「ゴマサバ」四九五円
…鶏だけでも何なので、魚も取り揃えている様なので発注。
黄金週間に出掛けた博多でも、同様の名前の献立が多々見受けられたが、
此方の「ゴマサバ」はと言うと、〆鯖にポン酢をぶっ掛け、薬味で和えた物。
鯖は〆過ぎない程度で、其処にポン酢、葱、紫蘇、紅葉卸、胡麻が絡み合う。
手羽先唐揚げで脂ぎった口内が、一瞬にしてさっぱりと浄化されるかの様。
◎「ターザン焼」一三二〇円
…あっと言う間に「手羽先唐揚」を食べ終えてしまい、御替わりでも良いのだが、
折角、こうして名古屋に迄来たのだから、鶏肉を堪能しよう。
豪勢に、若鶏の半身(腿、胸、手羽元)を唐揚げにしたと言う此れを発注。
一足早い伴天連正月の様な大きさで、野生児の様に噛り付く。
ヴァリヴァリと、口内が血だらけに成りそうな口当たりで、味付けは濃い目。
「手羽先唐揚」よりも食べ出が有り、夫々の部位の食感が堪能出来る。
香ばしいと言うのは素敵だ…。
◎「カンパチ カマ塩焼」一三二〇円
…さて、魚をもう一品、焼き物で発注していた。
此の日は他に「メダイ カマ塩焼」、「イカ沖漬け」、「バイ貝うま煮」が有り、
間八は刺身でも焼き魚でも最近頓に好きなので、旅先でも頂こう。
値段も値段なので、此れ又、立派で大きく、良く切れそうな鎌の形をしている。
檸檬を搾り、箸で突けば、身はほくほくとして、食べる所満載。
塩気も心地好く、白米を一緒に頬張りたくなってしまう。
切り身等のちゃんとした部位も良いのだが、此の手の鎌焼き、兜焼きの様に、
食べられる部位を突き乍ら探して頂くと言うのは、娯楽性も加わり、
且つ、骨に付着している旨味の強い部位なので、余計に旨いわぃ。
麦酒一杯、瓶麦酒一本、烏龍ハイ一杯でプクマンに成ってしまい、早々に退店。
~御負け~
十二月迄改修工事中の國寶・犬山城。