続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「魚定食 丸や」【横浜・泉】

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◆「魚定食 丸や」【横浜・泉】


 ◎「マグロカマ煮付定食」一〇〇〇円

 …昨晩は呑んで帰り、床に倒れ込む様にして寝入り、布団も掛けずに朝を迎える。
  立ち呑み屋の焼き鳥を焼く煙が身体中に染み込み、起き抜けに風呂に入り、洗い流す。
  未だ何と無く煙臭い気がしつつ外へ出ると、思わず家の中に再び入りたくなる暑さ…。
  朝からこうも暑いと、精神的に本当に宜しくない。
  如何かすると、不意に生きる気力さえ吸い取られてしまいそうな心持ちに成る。
  駅迄歩いただけで、蒸し風呂から出た後の様な汗が噴き出し、気持ちがもっきり折れる…。
  湘南新宿ライン相鉄線、乗り合いバスを乗り継ぎ、横浜市の外れへと辿り着く。
  今日はすべき作業が重めで、独りで黙々と、容赦無く滴り落ちる汗を拭い乍ら、
  「暑い、暑い」とはっきりと口に出し、気が滅入りそうに成りつつも没頭する。
  此の殺人的猛暑の所為で、時折、水分補給をし、風に当たる為に外に出るが、矢張り暑い…。
  錯乱しそうな、そして、何か事件が起こりそうな暑さだ。
  そんな中、十三時に成り、唯一の愉しみである昼御飯を摂りに、灼熱地獄へと飛び出す。
  道路が歪んで見える様な暑さの中、三日振りに又しても此方を訪れる。
  もう、食べないと夏バテしてしまうので、意地でも食べてやる事にする…。
  店内は其れなりに混雑しており、一番隅っこのカウンター席に腰掛ける。
  冷たい御絞りで顔の汗を拭い、何時も出される熱い御茶の他に水も御願いし、グイッと飲み干す。
  其れから漸く、メニューを眺める気分に切り替わる。
  三日前とメニューは一緒だが、ざっと一通り目を通す。
  暑いので刺身でさっぱりと、と考え勝ちだが、気分は何と無く煮魚…。
  此処最近、「鮨処 いっしん」で鮪ステーキや、赤身の寿司を頂き、鮪の旨さを改めて実感し、
  今回は、此方では初めて頂く「マグロカマ煮付定食」を発注してみる。
  因みに、此方で初めて頂いた煮付けは「ブリカマ煮付定食」…。
  止まらぬ汗を拭っていると、一〇分強で巨大な鮪の鎌の部位が差し出される。
  骨にたっぷりと身が付着しているのが、一瞥しただけでも分かる程に立派な鎌だ。
  早速、箸で突いてみると、いとも簡単に解れ、其れを口に放り込む。
  濃厚で甘辛い煮汁の味と、鮪の味わいが相俟って、身はホロッと解れる柔らかさが有る。
  此れはどんどん御飯が進む。
  又、骨に沿って身を削いでみると、面白い様にごっそりと剥がれ、清清しささえ感じる。
  其れは、耳掃除をしていて、張り付いていた耳糞が綺麗に穿る事が出来た時に似ている…。
  此の部位の身は、キュッと引き締まった身の弾力が有り、丸で肉の様な食感。
  ケンタッキーフライドチキンを食べているかの様だ。
  プリッとした身が最高に旨い。
  そして、脂が載って蕩ける様な部位も有り、三種類の旨さが堪能出来る。
  御蔭で御飯もしっかりと御替わりし、暑さから来る憂さを晴らす様に喰い捲る。
  定食には、魚の粗が入った具沢山の味噌汁、御香香、若布の酢の物が付く。
  腹拵えはしたものの、外に出れば、此の暑さが堪らなく腹立たしい…。