「鮨処いっしん」【日進】 - 続・ＲＯＣＫ‘Ｎ’ＲＯＬＬ退屈男

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◆「鮨処いっしん」【日進】

　…昨日。
　　先週の日曜日の代休と、来週日曜日の代休を、月曜日と火曜日に当て込んだ為、
　　此の日の土曜日から四連休と成り、二回目の夏休みの様な感じで、心の静養に努める。
　　朝は九時に起床し、溜まった洗濯物を遣っ付け、茹だる様な暑さに辟易し乍ら過ごす。
　　正午を過ぎ、十六時から散髪の予定の為、其の前に此方で一杯引っ掛け、
　　酩酊してからでないと原宿なんて小洒落た街には行けないので、昼酒を堪能する…。

　◎「生ビール（中）」五八〇円
　…思わず、朝起きてから直ぐに麦酒を呑みたい様な暑さだが、其れを我慢。
　　そして、此の日の口開けは毎度の此方で、ゆったりした感じの中、引っ掛け始める。
　　外は焦げる様な暑さだが、店内に入れば涼しく、苦味の効いた黄金色の液体を、
　　大きく喉を開いてグイッと呑むと、何とも言えない爽快感が走る。
　　麦酒の一口目は、如何してこうも旨いのだろう…。

　◎「鰯」三二〇円
　…麦酒をチビチビ遣っていると、マスターが「何か食べる？」と訊いて呉れる。
　　生憎、何時もの鮪ステーキ用の材料が無いとの事なので、鰯を摘みで頂く事にする。
　　先日の「魚定食丸や」での「イワシサシミ定食」然り、此処最近の鰯の旨さは格別で、
　　是非とも此方でもしっかりと鰯を頂いておかねば成るまい。
　　卸生姜を載せ、醤油に浸して頂くと、口の中でトロンとした舌触りで、
　　僕の身体も蕩けてしまいそうで、青魚特有の風味がフワッと感じられ、
　　身悶えしそうな旨さで、最高の酒の摘みで、麦酒が随分と進んでしまう…。

　◎「小肌」二三〇円
　…前回、今年初めての新子を出して呉れたが、身が小さく、流石に仕込みに手間暇が掛かる為、
　　普段の一六〇円ではとても採算が取れないらしく、二三〇円で提供している様だ。
　　今回も三枚付けで握って呉れ、此れ又、目にも美しい江戸前の逸品と言った感じ。
　　頬張ると、身は柔らかくて若々しい感じがし、塩と酢の風味が立ち上り、
　　全て買い占めたい程の旨さに、小さな乍らも大満足の味。

　◎「〆さば」二三〇円
　…何時もの御決まりの鯖を頂く。
　　夏場なので脂の載りが薄く、マスターも余り薦めたがらないが、松輪の物も時折入荷するらしい。
　　しっとりとした舌触りで、変なパサパサ感は全く無く、〆具合も絶妙で、
　　酸味は仄かに感じられる程度で、限り無く生に近い〆具合は此方ならではの旨さ。

　◎「鰺」二三〇円
　…手始めの摘みに、鰯にしようか鰺にしようかと迷った程に、今の時期、最高に旨いのが鰺。
　　肉厚の身は、口に入れるとトロンとした脂の載りが感じられ、
　　其れで居て、プリプリとした身の弾力感も有り、口の中で躍る様な食感。
　　鰯同様、最高に旨く、摘みでも頂きたいと心底思う…。

　◎「生サンマ」二三〇円
　…今年は秋刀魚が不漁との事で、価格も暴騰していると話に聞いたが、
　　マスターの話では、漸く価格も安定して来ており、此の日は二三〇円に値下げされている。
　　価格は下がっても、味が下がる事は全く無く、寧ろ、旨さが増している気がする。
　　濃厚な味が口一杯に拡がり、脂は濃密な感じで、其れで居て、執拗くないから凄い。

　◎「天然平政」二三〇円
　…今回は久し振りに平政が入荷している様なので、漏れ無く頂いておく。
　　若鰤、縞鰺然り、此方で仕入れる天然物は、其の名の通りの自然の旨さが有る。
　　シコッとした食感で、噛むと歯が減り込んで行く様な歯応え。
　　脂の載りは適度で、さっぱりした味わいの中に、派手さは無いが旨さが光る。

　◎「カツオ」二三〇円
　…鰹が有ると如何しても放って置く事が出来ず、必ず発注してしまう。
　　今回は薬味に茗荷が載っており、夏らしさが感じられる。
　　卸生姜、葱、茗荷の爽やかな辛味に、脂が程好く載った鰹のネットリとした旨味が絡み合う。
　　何時もとは違う茗荷の風味が加わり、一味違った鰹で、此れ又、宜しい。

　◎「小柱」二三〇円
　…壁一面に貼り出された御薦めメニューの中に、見慣れない文字列を発見する。
　　此方で小柱を頂くのは初めてでなかろうか。
　　軍艦にこんもりと小柱が盛られ、零さない様に、一口で頬張る。
　　小鰭、青柳、穴子と並んで江戸前の粋な感じで、貝の旨さが凝縮している。

　◎「まぐろ」二三〇円
　…先週、鮪を頂きそびれたので、今回はしっかりと頂く。
　　今回は鮪の食べ比べにと、マスターが二種類の鮪を握って呉れる。
　　先ずは手前の赤身は、波士敦産の目撥の生鮪との事で、赤々としており、
　　見た目通り、ネットリとした旨味が物凄く、さっぱりしつつも濃密な味わい。
　　お次は、奥の鮪は、同じく亜米利加産の本鮪で、此方も勿論、生鮪。
　　中トロに近い部位で、トロッと蕩け、微かな鮪特有の酸味も有り、脂の甘さも存分に有る。

　◎「やりいか」三二〇円
　…赤い鮪を頂いた後は、白い烏賊も頂いて、紅白目出度い感じに。
　　此方で烏賊を頂くのは三週間振りで、随分と間が空いた気がする。
　　サックリとした歯応えで、其の後にネットリとした深い甘味が強烈に襲って来る。
　　此の甘さは、甘い物が嫌いな僕でも大好きな甘味で、筆舌に尽くし難い旨さ。