続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「三丁目 にしや食堂」【日進】

◆「三丁目 にしや食堂」【日進】

 …大井町での仕事を終え、襤褸雑巾の様にヘトヘトで戻る。
  する事が盛り沢山の仕事の上、帰りの電車も立ち通しで、脚はパンパンに張っている感じ。
  今週は晩御飯は缶麦酒、と言っても、本物の麦酒は高価なので、其の他雑酒だが、
  後は摘み一品のみの簡素な食事で、炭水化物を摂れる様な陽気でもなかったので、
  今宵は久し振りに、ガッツリと食事をしようと、此方を訪れる。
  先週は木曜日に店の前迄行くと、満席で全く入れる余地も無く諦め、
  土曜日の昼間に珍しく伺うも臨時休業で、自分の運の無さを改めて痛感する…。
  入口の扉が開け放たれ、プンオーな雰囲気の店内に入れば、他に客は無く、
  ホッと一安心で、最近の懸案の蟋蟀も居らず、ゆっくり出来そうだ…。

 ◎「生ビール(中)」五〇〇円
 …何は無くても、麦酒が無くてはいけない。
  女将さんに「ルービーを」と発注し、真っ白に凍ったジョッキに注がれたプリン体登場。
  此れを喉元目掛け、此の所、喉の調子が悪いので、其の治療薬とばかりに、
  チンカチンカに冷えた黄金色の液体を怒涛の如く流し込む。
  然し、余りグイグイ遣ってしまうのは勿体無く、加減し乍ら呷る。
  御通しは辣韮。

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 ◎「ロースカツ定食」九〇〇円
 …麦酒を一杯呑んだ所で、食事を発注する。
  此の日の御薦めが記された黒板には、豚カツ屋ならぬ、「ロースカツ定食」の文字。
  小父さんは嬉しくなってしまうよ。
  もう此れ以外に考えられず、腕白中年、驀地…。
  蟋蟀も来る気配は無いし、本当、心穏やかな晩だ。
  此れで、流石の蟋蟀も毎晩は来ていない事が分かり、ホッと安心する一方で、
  此れ迄、毎回毎回鉢合わせをしていたと言う事は、矢張り、僕の運が悪いと言う証だ…。
  蟋蟀が居ないのは良いが、座敷に上がり、自分の草履も揃える事が出来ない、
  ゆとり世代の弊害である大学生の集団を見、世も末だと、諦念を抱いてしまうが…。
  其れは兎も角、他は如何でも良い。
  こんがりと揚がった、目の前の「ロースカツ定食」にだけ没頭すれば良いのだ。
  「チョモランマキャベツ付き」としてあり、付け合わせには山盛りのキャベツが。
  食べ切れなかった時の為に、持ち帰り用の容器を予め持って来て頂いているが、
  日頃、「二郎」系で胃袋を鍛えている僕にしたら、心配護謨用、もとい、御無用…。
  臆面も無く、我が儘を承知でマヨネーズを別皿で貰い、卓上の中濃ソースを豚カツに、
  此れでもかと、親の仇の様にぶっ掛ければ、晩餐の準備が万事整う。
  先ずは、僕は嫌いな物から遣っ付ける性分なので、千切りキャベツから片付ける。
  マヨネーズを塗し、味を誤魔化しつつ、其れこそ、蟋蟀の様に葉っぱを食む。
  脇のゲッティーサラダと交互に頂き、成る丈、生野菜っぽさを消し乍ら食べ進める。
  さて、野菜が粗方片付いた所で、待望の豚のカツを頂く。
  豚カツは矢張りロースに限り、ヒレを発注する人間は愚かだ。
  豚肉の旨さは脂身にこそ有り、此れを頂かないのならば、豚肉を食べる意味は無い。
  端っこの脂身の多い部位から頂けば、溢れ出る肉汁が堪らない。
  安部譲二先生の名言、「豚の脂身我慢して迄、長生きしたくないよね」を心の中で復誦する。
  肉は可也の厚みが有り、食べ出は言う迄も無く十分過ぎる程に有る。
  豚カツ屋の物とは一線を画しており、昔、実家で食べた様な豚カツとでも言おうか、
  家庭的な味わいのする、余所行きではない、懐かしくてホッとする感じに思える。
  練り辛子を塗し、時折、マヨネーズも付け、一心不乱に喰らい付く。
  赤身の部位も柔らかく、筋張って噛み切れないなんて事は有り得ない。
  嗚呼、旨いなぁ…。
  蟋蟀の影に怯え、御邪魔する事を躊躇ってしまう事が本当に悔しい。
  人間、義理を欠いて、不道徳な事をしたらいけない…。

にしや食堂 [ その他 ] - Yahoo!グルメ



住所: 埼玉県さいたま市北区日進町3丁目225
営業時間、定休日:
最寄り駅: 日進(埼玉県)
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※2011年6月3日時点の情報です。
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