◆「ラーメン 凪」【大宮】
…昨晩。
上野で一頻り呑み、大宮へと舞い戻って来る。
時刻は二十三時半。
此の儘、おめおめと帰宅するのは至極残念なので、大宮駅でぶらり途中下車。
〆が終わっていないのだよ。
此の時間なので、「ジャンクガレッジ」は閉店ガラガラなので、
無難に「天下一品」を覗くも、酔客でごった返して満席で、辟易として踵を返す。
次なる候補地は「伝説のすた丼屋」しか無く、店頭迄向かうが、
何だか、昼間の「ラーメン ひかり」の「野菜つけめんチャーシュー」が居座り、
胃凭れ気味なので、丼飯は回避せざるを得ない様だ。
参ったなと途方に暮れ、数メートル先の此方が目に入る。
う~ん、二〇一五年の大晦日に一度御邪魔した切りだが、まあ、仕方無いか…。
◎「ビール」一五〇円
…店内に入り、券売機で食券を購入するが、麦酒が一五〇円と言うのを、
思わず二度見してしまい、次の瞬間、釦を勝手に押している…。
呑むつもりは余り無かったんだが。
ラーメンの食券も購入し、選挙の投票所の様に区切られた個席に腰掛け、
卓上の文明の利器に食券を読み取らせ、諸々の発注を済ませると、
麦酒が配膳され、ホッピーで傷んだ身体に麦酒を注入する。
もう、味なんて如何でも良い。
◎「すごい煮干しラーメン」八二〇円
…ラーメンはと言うと、無難に、普通の煮干しラーメンで。
前回は、具の全増しの「スーパーすごい煮干しラーメン」を頂いている。
麺の硬さや脂の量は、面倒臭いので、全て普通で発注。
麦酒を三分の二程を呑んだ所で、ラーメンが出来上がったと電子音が鳴り、
目の前の、「かっぱ寿司」宜しく、高速配達レーンの様に、
ラーメンが乗せられて運ばれて来て、此れを「空飛ぶラーメン」と称する様だ。
丼を受け取り、手元に下ろし、いざ頂こう。
濛々と、湯気と一緒に煮干しの薫りが立ち上っている。
一口、蓮華でプースーを啜れば、此れ又、脂っぽさ満点だ。
表面には油層が構築され、唇がテッカテカに成る位の油。
煮干しの風味はガツンと伝わるが、歳の所為か、此の油分に梃子摺る。
甘目の味わいで、兎にも角にも煮干しの風味が強烈だ。
二〇種類以上の贅沢な煮干しを惜し気も無く、一杯当たり六〇グラム以上使用、
そんな能書きが簡単に納得出来てしまう程に、煮干しが主張している。
日本全国の漁場から届けられる煮干しを吟味し、数え忘れる程に研究し、
編み出した特殊な製法で日夜、修行を積んだ職人が作り出していると言う。
時折、麦酒で口内洗浄を行い乍ら食べ進める。
麺は、独自の手揉み中太麺で、茹で立てのモチモチ食感と、
際立った小麦風味が愉しめると言い、程好い手揉みの縮れ具合が、
プースーと良く絡み、時間と共にプースーを吸い上げ、
ラーメン本来の味わいをより一層広げると言う謳い文句。
確かに、縮れがプリプリ感を生んでおり、口当たりが面白い。
更に、「いったん麺」と言う幅広のピロピロした紐皮饂飩の様な物が入り、
餺飥、棊子麺、雲呑の様な趣きすら感じられる。