続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「うなぎ 山家本店」【大宮】

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◆「うなぎ 山家本店」【大宮】

 ◎「上鰻重」四一二〇円

 …待望の三連休も、あっと言う間に最終日。
  明日から始まる過酷な激務に、重度のサザエさん症候群が圧し掛かっている。
  真夏の激務もそうだが、今後の身の振り方も決めなければならない。
  嗚呼、生きるって、如何してこんなに苦しいのだろう。
  好きで、頼まれて生まれて来た訳じゃないのに…。
  三連休最終日は、昨晩の酒の所為も有り、寝起きは身体が重たい。
  何とか八時前に起き出し、風呂に入り、寝汗を洗い流す。
  朝方に驟雨が有った様だが、其の涼しさも疾うに消え、陽射しが強い。
  午前中は冷房も点けずに、汗だくでぐったりと、極めて自堕落に過ごす。
  十一時を廻り、漸く動き出そうと、灼熱の戸外へと飛び出す。
  昼御飯は、無駄に精を付け、此れから迫り来る困難に打ち勝とうと、
  奮発して鰻を頂こうと、大宮駅前の老舗に出掛けようと決めていた。
  此の先、金も無くなるだろうから、有る内に出来る事をして置こうと言う寸法。
  店に着けば満席の様で、正午前だが、唸る程に金を持っている人で溢れている。
  こちとら、なけなしの金で、清水の舞台から投身自殺する気分だと言うのに。
  随分と年金を貰えるのか、将又、悪事で儲けているのか…。
  五分程、店内中程の椅子で待たされ、席に案内される。
  御品書きを捲れば、「鰻丼」二五七〇円、「鰻重」三一〇〇円と御高い。
  然し、折角だ。
  もう、鰻を頂けるのは最後だろうと、えい、儘よとばかりに、
  目を瞑って、其の上の「上鰻重」を思い切って発注してみる。
  後は、ヂッと、グッと堪えて出来上がりを待つ。
  十五分程で、盆に乗せられた御重の御出座しだ。
  玉手箱の蓋を開ける様に、パッカーンと開けば、夢と希望が出現する。
  目が眩む程、立派な鰻だ。
  いざ、箸を入れ、一口大にして頬張る。
  当たり前だが、美味しくない筈が無く、泣ける程に旨い。
  今日の鰻は鹿児島県産との事で、日によっては高知、静岡、三河と、
  其の日で最上質の活鰻が、独自経路で毎早朝届けられるとの事だ。
  ふっくらと軟らかく、癖も無く、最高に旨い。
  タレは明治五年の創業以来、継ぎ足していると言い、あっさり目に感じる。
  サラッとしている印象で、飽きの来ないと言うか、諄さ、執拗さは無い。
  鰻は備長炭で焼かれている様で、高熱で内側から焼き上げられ、
  パリッと香ばしく、素材の旨味を閉じ込め、美味しくなると言う。
  卓上の山椒を振り掛けて頂けば、馨しく、爽やかな辛味が鼻腔を駆け抜ける。
  嗚呼、幸せだ…。
  然し、幸せな時間と言うのは長く続かず、じっくりと味わって頂いても、
  あっと言う間に食べ終わってしまい、至福の時間は実に儚い。
  明日からは地獄の幕開けで、明後日は今後の身の振り方が決まる日だ…。