続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「うなぎ 魚庄 大宮店」【土呂】

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◆「うなぎ 魚庄 大宮店」【土呂】
 
 ◎「鰻重(上)」三二〇〇円
 
 …先週日曜日。
  つい此の間、マッカーサーが来たと思ったら、もう七月だ。
  梅雨も明けてしまい、酷暑、熱帯夜続きで、疾うに夏バテ気味。
  熟睡は出来ず、此の日も明け方に目が覚めてしまい、早起きをしてみる。
  一〇時前に家を出、大きな買い物を済ませた後は氷川神社へ。
  御祓いをして貰えば、既に灼ける様な陽射し、時刻は正午。
  空腹を感じたので、此の暑さで身体も容易じゃない状態なので、
  土用の丑の日には未だ早いが、精を付け、目出度さも相俟って鰻にしよう。
  自動車を走らせ、以前から存在は確認していた此方に初訪店。
  通りから路地を一本入った住宅街に、突如として鉄筋造りの真新しい建物。
  蓮田市に本店を構え、創業明治十六年と言う老舗の鰻料理店。
  人気店の様で、店先、風除室には待ちが大勢居り、時間が掛かりそうだ。
  腹の虫が鳴くのを我慢し、二、三〇分程で漸く席に案内される。
  掘り炬燵式の座敷に、ヨッコラセーノセーノセーノセと重たい身体を屈める。
  献立表をパッと見て即決し、気前良く、「上」を発注する。
  御茶を啜り、更に此処から二〇分程、我慢の時間を過ごし、やっと配膳される。
  逸る気持ちを抑えつつ、冷静を装い、御重の蓋を開けてみる。
  シマウラのローターがバコタマテをプンオーするかの様に。
  もくもくと煙りは上がらず、何とも馨しく香ばしい薫りが立ち上る。
  辛抱堪らず頂こうと、鰻に箸を入れれば、いとも簡単に千切れる軟らかさ。
  一口大にして、此れを頬張れば、此の上無い至福が訪れる。
  毎日厳選された新鮮な鰻を仕入れ、注文が入ってから鰻を捌くと言い、
  創業当時からの秘伝のタレでじっくりと焼き上げると言う拘り。
  皮はパリッと香ばしく、高温の炭火でじっくりと焼き上げられたのが窺え、
  中は驚く程にふっくらとして肉厚で軟らかく、歯が要らない程の蕩ける食感。
  年に一、二度しか頂けないが、矢張り、鰻は日本人の心だな。
  日本人に生まれて良かったと痛感する瞬間でもある。
  卓上の山椒を振り掛ければ、華やかな風味と爽やかな辛味が広がる。
  仄かに痺れる様な感覚が、鰻のテレレの甘味と相俟って心地好い。
  テレレはやや甘目だが、諄さやだれる感じは無く、御飯もべちゃっとせず、
  ぱらぱらとして口内で解れる感覚で、鰻と組み合わされば、嗚呼、幸せだ。
  出来上がる迄、待つ時間は長かったが、食べるのは一瞬。
  あっと言う間に平らげてしまい、明日への活力とし、英気を養う。
  御香香も豪勢で、奈良漬け、紅生姜、牛蒡、胡瓜、甘藍と入る。
  肝吸いは薄味だが、上品で宜しい。
  三度の食事を二度に詰めてでも、矢張り、鰻は頂きたい食事だ…。