…週末の休日も、遂に、到頭、終焉を迎えようとしている。
明日から又、永く険しい一週間が始まると思うと、浮き足立って来る心持ちだ。
休日最終日は何とか、真面な事をしようと、朝から映画館へと出掛ける。
九時三〇分からの回に合わせ、八時に起き出し、朝っぱらから動き出す。
数年振りに映画館へと足を向かわせたのは、僕が女王陛下崇拝者だから。
QUEENの映画「ボヘミアン・ラプソディ」、漢字で記せば、
「波希米亜狂詩曲」と言った所だろうか。
最後の「LIVE AID」の場面は圧巻で、鳥肌が立つ思いで、
フレディ・マーキュリー、漢字で記す所の佛莱迪·摩克瑞が憑依したかの様。
いやはや、フレディ・マーキュリーが亡くなった歳に近付いて来て、
自分はちっぽけで、糞の役にも立っていないと、激しく恥じてみる…。
さて、映画で心が豊かに成った後は、腹を満たしに大宮駅周辺へと移動。
一一月一一日、一並びと縁起が良いので、奮発してギーウナでも頂こうかしら。
「う匠 山家膳兵衛」は高級過ぎて手が出ないので、比較的良心的な此方へ。
◎「ノンアルコールビール」三九〇円+「きも焼」二五〇円+「串巻き」三〇〇円
…店内は略満席に近い状態で、何とか、店内奥の席に通される。
昼間っから、鰻串焼きを肴に酒を引っ掛けている連中の多い事。
悪い事をして儲けている輩が多いのだなと、鼻に付いて仕方無い。
ヨッコイショーイチし、献立表を捲り、彼奴等に負けじと麦味の炭酸水を発注。
摘みにと串焼きを二本ばかり御願いする。
手酌で「ホッピー」の「外」の様な遣る気の無い麦味の炭酸水をグイッと呷る。
爽快感は有るが、呑み応えは丸で無い…。
「きも焼」はコリコリとした食感で、鰻の内臓のほろ苦さが大人な味わい。
「串巻き」は鰻を細く切りって巻いた物で、蒲焼きの様に蒸していないのか、
程好い弾力が有り、山椒を振り掛けて頂けば、炭酸水が進んでしまう…。
◎「うな重(松)」二九〇〇円
…さて、串焼きで麦味の炭酸水を愉しんだ後は、本日の主役、鰻の御出座しだ。
前回、一月十二日に御邪魔した時は「竹」だったので、今回奮発して、
清水の舞台からバンジージャンプした気分で、「松」を発注。
明日からの一週間を頑張って乗り切る為の薬代だと思えば、安いじゃないか。
と言いつつ、既に財布が傷んで綻んでいるが…。
厨房内は男性四名、女性一名体制で、ゴレンジャーと同じ編成。
アカレンジャーが焼いて呉れた鰻重が配膳される。
否、アオレンジャーが拵えて呉れたのかも知れない。
カレー味ではないので、キレンジャーでない事は確かだ…。
そんな馬鹿は兎も角、御重の蓋を、丸でシマウラのローターが、
ヒメオトのチャンネェから貰ったバコタマテをプンオーするかの様に開ける。
おおっ、照明に鰻の蒲焼が輝いているではないか。
二二七〇円の「竹」との違いは、重箱の大きさ位だろうか…。
早速、割り箸を手に取り、一口大に千切れば、いとも簡単に崩れてしまう。
其れを口に頬張れば、炭火で焼かれて表面の皮目はパリッと香ばしく、
中はふっくら、そして、身がしっとりと蕩けて行く旨さで、至福の時間だ。
本当、日本人に生まれて良かったと実感する瞬間でもある。
トロトロに溶けてしまう様な感覚で、鰻本来の味わいも確りと感じられる。
タレは何時もよりも濃い味に感じられ、甘味は控え目で、辛目の印象。
山椒をたっぷり振り掛けて頂けば、薫りが良く、一気に華やぎを増す。
痺れる様な感覚が心地好く、鼻に抜ける芳香が爽やかだ。
大事に、食べてしまうのが勿体無い気持ちで、あっと言う間に平らげる。
今度は鰻を何時頂けるだろうか…。