◆「らーめん 瞠」【池袋】
◎「比内地鶏のあぶらそば」八五〇円+「中盛」無料
…昨日。
木曜日の夜半、寝しなに不意に、胸焼けと言うか、喉から胸に掛けて、
締め付けられる様な、腹痛、背中痛の症状に見舞われ、一瞬、絶命を意識する。
嗚呼、明日の仕事、僕の業務は如何するのかとか、くたばったら、
如何やって会社に連絡が行くのかとか、苦悶の中でも考えるものだな。
雪隠に籠ったり、息苦しさに耐えて横たわったり、気付けば気絶する。
然し、弱った事に、生きて朝を迎えてしまった様で、其の後遺症は残り、
朝から胸部、腹部に違和感を抱えつつ、今週の最終日の仕事を熟す。
十四時に成り、胃袋に何も無いので腹の虫は若干喚くが、空腹感が無い。
とは言え、昼御飯だけが生きる支えなので、何か口にしないと心身に障る。
二日前、突如、鶏油の効いたラーメンが頂きたい衝動に駆られていたが、
生憎、池袋には鶏油の効いた淡麗系のラーメン店は皆無なので、
此方に、「比内地鶏のあぶらそば」なる物が有る様なので、
二〇一五年二月二〇日以来、三年二ヶ月振りに訪店。
言わずと知れた、「渡なべスタイル」と言う、高名なラーメン好きの人の店。
木戸を開けて中に入り、券売機で件の食券を購入する。
時間も時間、福田事務次官なので、先客は四人のみで空席が多い。
食券を手渡せば、麺の量を並盛りか中盛りか問われ、具合が悪いのだから、
止せば良いものを、生来の貧乏性なので、一応悩んで「中盛りで」と。
其りゃ、夜中に具合も悪く成るわさ…。
冷水を呷り、出来上がりをヂッと待つ。
厨房内は男性二名体制で、大瀬ゆめじ・うたじと同じ編成。
解散してしまったが、まあ、良いわね…。
一〇分程で配膳され、箸を割り、いざ、卑猥な時間のタイムが遣って来る。
麺と具を、底に溜まったテレレと、ぐっちょんぐっちょんに、
ぴちゃぴちゃと淫猥な音を響かせつつ、全体をざっくりと掻き混ぜる。
丼と言う肉壺に、箸と言う指を挿入し、攪拌する此の瞬間が堪らなく好きだ。
え~、こんな僕は変態でしょうか…。
肉壺の中がしっちゃかめっちゃかに、しっとりと全体が潤った所でいざ啜ろう。
テレレは「比内地鶏の鶏油から出る濃厚な香りとガラスープの繊細な味わい」、
そんな謳い文句で、芳醇な鶏油の風味が力強く、鶏が主張している。
醤油ダレの切れも有り、塩気も先ず先ずだ。
無化調が売りだけあり、変なえげつなさが無く、滋味深さが感じられる。
麺は中盛りで二五〇グラム有ると言い、モッチリとして、テレレも良く絡む。
具の叉焼は炙ってあり、香ばしく、ロース肉だろうか、脂身は適度に有り、
赤身の部位はパサつきも無く、しっとりとして中々だ。
麺麻はシャクシャクとした歯触りで、極太と迄は行かないが、存在感が有る。
味付け玉子は、黄身がドピュっと飛び出る物ではないが、ねっとりと濃厚。
刻み玉葱はショリショリとした食感と甘味を齎して呉れる。
他には水菜、海苔、糸唐辛子が入る。
胃袋に少し入れたら、幾分は楽に成ったか…。