…嗚呼、今週末も生きる支えの休日が終わろうとしている。
此の夕方の気怠い、どんよりとして、沈殿して行く様な気分は何なのだろう…。
昨晩は、取り寄せた「伊達の牛たん本舗」の「厚切り芯たん 塩仕込み」や、
生牡蠣、生北寄貝、鰹、筋子、寿司を肴に、憂さ晴らしも兼ねて一杯飲り、
今朝は早起き出来る筈も無く、九時過ぎにのそのそと起き出す始末。
喰い道楽なので、こうして心的警告反応を緩和させてあげないと駄目だ。
起き抜けに風呂に入って身を清め、午前中は極めて自堕落、非生産的に過ごし、
正午前に家を出て、昼御飯と買い出しを済ませる。
向かった先は、昨年十一月十一日以来、約五ヶ月振りの此方。
賤民なので、安価に鰻を頂くには、此方が大いに助かるので…。
◎「ノンアルコールビール」三九〇円+「きも焼」二五〇円+「短尺」三〇〇円
…店に入り、少し待ち、席の準備が出来てから案内されてヨッコイショーイチ。
周りの殆どは、昼間っから酒を掻っ喰らい、串焼きを齧ってけつかる。
こちとら自動車なので、何時も通り、麦味の炭酸飲料水で我慢…。
遣る気の無いホッピーの「外」の様な麦ジュースを手酌で飲り、串焼きを待つ。
今回はと言うと、御決まりの「きも焼」に、「短尺」を発注。
「きも焼」はコリコリとした食感で、鰻の内臓のほろ苦さが大人な味わい。
「短尺」は蒲焼を小さく串焼きにした物なので、言ってみれば、一口大の蒲焼。
軟らか過ぎると串に刺さらないからか、蒸さずに焼いた物の様な弾力と食感。
石油を掘り当てたら、此方で七種全ての「鰻串焼きコース」を肴に、
じっくりと、静かに酒を呑んでみたい…。
◎「うな重(松)」二九〇〇円
…串焼きで麦味の炭酸水を愉しんだ後は、本日の主役、鰻の御出座しだ。
前回に続いて、今回も豪勢に「松」を発注。
「山家」で「上鰻重」を頂いたら四四二〇円もするが、此方なら良心的だ。
因みに「竹」は二二七〇円、「梅」は一八六〇円、「うな丼」は一二九〇円。
さて、配膳された御重の蓋を、丸でシマウラのローターが、
ヒメオトのチャンネェから貰ったバコタマテをプンオーするかの様に開ける。
箸を鰻に入れて千切れば、いとも簡単に、崩れる様にして切れる。
此れを白米と一緒に頬張れば、此の瞬間、日本人に生まれて良かったと実感。
炭火で焼かれ、表面はカリッと香ばしく、皮目はパリッと仕上がっており、
中はふっくらとして、噛まずとも、とろんと蕩ける様な食感。
金曜日に浅草の「宇奈とと」で、中華人民共和国人の大群の行列の所為で、
泣く泣く諦める憂き目に遭ったが、此の鰻重の為に我慢したと思う事にしよう。
秘伝のたれと謳うテレレは、甘過ぎず、辛過ぎず、好みの塩梅。
卓上の山椒をたっぷりと振り掛ければ、風味が高まり、此の痺れる感じが良い。
御飯は硬めの炊き上げで好みだ。
水分多目の炊き立ての熱熱の白米と言うのは、如何も食べ難くていけない。
食べ終えてしまうのが惜しいが、自「鰻」の逸品を平らげ、おぢさん嬉しい…。