続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「どさんこ太郎」【七里】

◆「どさんこ太郎」【七里】

 …週末の休日も、呆気無く終わろうとしており、心細さしか無い。
  明日からの日常を迎えるのが不安で、わなわなと震える小動物の様。
  明日が刻一刻と迫り来るが、丸で、人生の終焉の秒読みをされている気分だ…。
  そんな中、休日最後の昼餐はと言うと、子供時分の郷愁に駆られ、
  三〇年以上振りだろうか、昔懐かしい此方へと御邪魔する。
  あの伽藍鳥の絵の赤い看板の「札幌ラーメン どさん子」でもなく、
  其の二番煎じの「どさん娘」や「どさん子大将」でもなく、「どさんこ太郎」。
  子供の頃、外食が一番の御馳走、催し物だった時分、親に何度か連れて来られ、
  ラーメンを啜った記憶が朧げ乍らに残っている。
  未来に夢も希望も無いので、過去に縋るより他無い懐古趣味なのだろうな…。
  何度も店の前を通っており、都度、混んでいるので、期待を胸に入店すると、
  日曜日の昼時とあって、決して広くない店内は、多くの客で犇めき合っている。
  L字型のカウンター席、小上がり席では、多くの客が一杯飲り乍ら、
  餃子や炒め物を摘みに、正しい日曜日の昼を愉しんでいる風景に癒される…。

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 ◎「ぎょうざ」三〇〇円
 …カウンター席の間に何とか挟まり、ヨッコイショーイチし、献立表を眺める。
  自動車でなければ、間違い無く麦酒なのだが、グッと我慢…。
  麦味の炭酸水も無いので、餃子とラーメンを発注。
  厨房内は年配の御夫婦が切り盛りし、女学生と思しき店員氏が配膳をしている。
  忙しくも嫋やかに流れる時間を愉しみ乍ら待ち、十五分程で餃子の御出座し。
  こんがりと狐色に焼き上がり、小皿に胡椒、酢、辣油を投入してテレレを作成。
  麦酒が呑めないのを悔やみつつ、此れを頬張れば、猫舌泣かせの熱さ。
  表面はカリッと香ばしく、中の餡は野菜多目で、大蒜と生姜も確り効いている。
  大振りな餃子が六個入って二三七円の「ぎょうざの満洲」程ではないが、
  旧き良き時代の町中華、大衆食堂の正しい餃子だ。

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 ◎「みそラーメン」四五〇円
 …さて、ラーメンはと言うと、子供の時分から此れだ。
  当時の記憶では、味噌ラーメンなんぞ、家では「サッポロ一番みそラーメン」、
  外では「どさん子」、「くるまやラーメン」位しか無かったので、
  御多分に洩れず、此方のも、味噌ラーメンを覚えた味の一つだ。
  其の往時の記憶其の儘に、玉蜀黍の黄色が眩しいラーメンが目の前に現れる。
  たっぷりの萌やしと黒胡麻、肉っ気が全く無い簡素なラーメン。
  当時は此れが御馳走だったのだ。
  先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
  サラッとした軽いプースーで、「麺処 花田」の様なドロッとした濃厚さや、
  「すみれ」の様な豚脂で蓋をした熱熱の刺激的な味わいは丸で無い。
  さっぱりとした味わいで、じんわりと辛味が感じられ、懐かしさが去来する。
  麺は中細の縮れの効いたプリッとした食感で、茹で加減は軟らか目だが、
  其れは其れで宜しく、良い意味で、至って普通、無難な仕上がりのラーメン。
  奮発して「チャーシュー」二〇〇円、「ねぎ」一〇〇円、「バター」一〇〇円、
  其れ等を追加しても八五〇円ならば、其れでも安いじゃないか。
  中盤、コクを足そうと、卓上の卸大蒜を投入して頂く。
  隙有らば、大蒜を摂取しようと言う悪巧みは常に持ち合わせている。
  郷愁を感じつつ、ラーメンと餃子を堪能し、休日最後の昼餐を終えて退店。
  電車で来るには遠いので、此方で一杯飲ると言う夢は叶わないかな。
  あっ、目の前は乗り合いバス路線の旧十六号線だわ…。