◆「らーめん つけめん 鶏の穴」【池袋】
◎「カキとほうれん草のらーめん the オイスターズ」八五〇円
…金曜日。
年々、余り年の瀬と言うのを感じ難くなっていて、風情もへったくれも無い。
子供の頃の、何と無く忙しなく、バタバタとし乍らも愉しさが有った空気感は、
ピンと張り詰めた寒さも手伝っていたが、毎日、夏日の陽気で汗だくだ。
電車内も室内も、無駄に暖房を効かせ過ぎて暑いのに、皆一様に厚着をして、
暑がる様子も無く、僕独りが噴き出す汗を拭うのが忙しく、暑がりは生き辛い。
後一週間で年が改まるなんて、微塵も感じられないわね…。
さて、話は遡って昨日。
三連休を前にして、幾分、華金と言った気分が高まって来る。
したらば、一年の締め括り、毎月の月替わり限定ラーメンの食べ納めかしらね。
毎年十二月は決まって牡蠣だ。
念の為、今年のラーメンを復習しよう。
一月「鶏白湯の担々麺」、二月「ピリりと辛い味噌らーめん ちょいみそ」、
三月「とりちゃんぽん。」、四月「Lemon~あっさりあえSOBA
ペペロンティーノ風~」、五月「酸味と辛味のハーモニー 帰ってきた
さんらーたん。」、六月「アゴつけ」、七月「鶏冷やしらーめん サラッと。」、
八月「雲丹を使った冷たいあえ麺 雲丹あえ」、九月「たっぷりチーズ ’on卵
つけてカルボニャーラ」、一〇月は「カツオ鶏らーめん」、そして先月は、
「炙りチーズのら~めん はい、チーズ!」と来て、毎年恒例の此れ。
「カキとほうれん草のらーめん the オイスターズ」。
二〇一二年に初めて頂き、二〇一三年、二〇一四年は頂けず、
二〇一五年から頂き始め、今年で四年連続五回目と成る。
十四時過ぎに店に着き、券売機で食券を購入し、木戸を開けて店内に入る。
一番奥のカウンター席の端っこに陣取り、食券を手渡し、ヨッコイショーイチ。
冷水を口に含み、薄ぼんやりしていると、五分強で、一年振りの対面を果たす。
此れだ此れだ、此れを頂かないと年を越せない。
立ち上る湯気と共に、牡蠣の香りが揺蕩い、亜鉛、アミノエタンスルホン酸、
吸湿性暗赤色結晶、鉄、糖原質等の栄養分が迸り、ムンムン、文在寅。
そんな無能指導者はさて置き、先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
此方の売り、主役である鶏白湯のぽってりとした中に、牡蠣の風味が馨しい。
僅かにとろみが有り、重た過ぎず、円やかで滑らかで、滋養が感じられる。
揚げ葱の香ばしさも、何とも絶妙だ。
濃厚でペトッとした感じが唇を覆う。
丸で、平沢勝栄議員のポマード頭に熱いベーゼをしたかの様。
此の、政治家のポマード頭の比喩も、そろそろ喩えが尽きて来たな…。
麺は細麺で、噛むとバツっと千切れる歯触りが素敵だ。
替え玉をした博多ラーメンをも髣髴とさせ、しなやかさも併せ持つ。
主役の牡蠣は、ぷっくりと丸々として、然程大きさは無いが、
海の牛乳たる所以を感じさせる、栄養たっぷりの旨味が犇めき合っている。
毎週末、晩酌の肴に生牡蠣を頂き、こうしてラーメンでも頂いているのに、
一向に元気に、快活に成れないのは、其れだけ擦り減る物の方が大きいのか…。
具は他に、白髪葱、浅葱、揚げ葱、糸唐辛子。
此れを平らげたら、身体はポカポカで、おぢさんは汗だく…。