続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「浅草 名代らーめん 与ろゐ屋」【浅草】

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 ◎「ちゃーしゅうめん」九五〇円

 …木曜日。
  春と言えば、普通だったら、愉しい気分に成る様だ。
  春色の汽車に乗ったり、春と言う字は三人の日と書いたり、
  春は何時でも時めきの夜明けだったりするらしいが、花粉症では駄目だ。
  気分的には、春なのに御別れですか…、ヨシワバラカシエも吃驚だ。
  さて、話は遡って木曜日。
  此の日は、永谷園ではないが春雨が降り頻る。
  普段であれば、ジンガイと人力車の客引きしか居ない街だが、此の日は幾分、
  彼奴等の姿が少なかろうと、雨の中を浅草へと向かう。
  此の界隈は「自家製麺 伊藤」、「富士らーめん」、「四川担担麺 阿吽」、
  「中国手打拉麺 馬賊」と言った宿題の店も多いが、今回は此方へ二度目の訪店。
  浅草では「来集軒」、休業中の「あづま」と並ぶ老舗と個人的に位置付けている。
  土砂降りに近い中、屯するジンガイを掻き分ける様に辿り着けば、
  店頭で女中さんが凍える様にして立っており、献立表を差し出され、
  即座に決定しなくてはならず、慌てて、「ちゃーしゅうめん」と告げる。
  木戸を開けられて中に入り、前金で会計を済ませ、大き目の札を受け取り、
  止まり木にヨッコイショーイチし、其の札を提示する。
  出来上がりをヂッと待ち、正統派の醤油拉麺を待ち侘びる。
  隣で女中さんが賄いに「ざるらーめん」と「和風ぎょうざ」を食べ始めると、
  程無くして僕にも食事が与えられ、丼を受け取り、手元へと下ろす。
  嗚呼、此れぞ、御主人が目指す、昭和三〇年代の拉麺か。
  先ずは蓮華を手に取り、プースーから味わおう。
  和風醤油を謳うプースーは、一口啜っただけで口内に旨味が行き渡る。
  国産鶏と豚の拳骨を基礎に、煮干し、鰹節、昆布で仕上げており、
  動物系と魚介系素材の調和役として、野菜数種類を加えると言う。
  九十九里産の片口鰮の煮干し、枕崎産の鰹節、稀少価値が高く、
  旨味が強い鯖節を使用する事で深みを与えていると言い、上品だが、
  どっしりとして膨よかで、芳醇な出汁の風味が感じられる。
  そして、鼻腔を擽るのが柚子の香りで、高知県は北川村産との事で、
  爽やかな芳香が、より一層、淡麗な佇まいを演出している。
  麺を手繰れば、緩やかな縮れの効いた、「浅草開化楼」の特注麺と言う。
  啜ると口内で暴れる様な食感で、スルスルっと入って来る。
  昔懐かしい中華蕎麦と言った感じの麺で、啜る度に心地好さを感じる。
  プースーとの絡み、持ち上げは勿論良く、腰と弾力も秀逸だ。
  具の叉焼は四枚入り、開店以来、継ぎ足している秘伝のタレで漬け込まれ、
  脂身の少ない部位だが、外側は厚目に、内側に向かって薄く切られており、
  異なる食感が味わえるが、むっちりとして、しっとり感が有って実に旨い。
  麺麻も自家製と言い、たっぷりの香味野菜と、薫り高い胡麻油が味の決め手で、
  細切りで存在感は希薄だが、しんなりとして軟らかく、主張し過ぎず控え目。
  他には海苔、三つ葉、葱が入り、醤油拉麺発祥の地・浅草で頂く正統派の拉麺。
  最後はプースーを残らず飲み干し、雨の中を帰り、偶さか見付けた「丸仁」で、
  お気に入りの「たけのこラー油きくらげ」を購入し、観光気分のおぢさん…。