続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「横浜らーめん 寿三家」【蔵前】

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◆「横浜らーめん 寿三家」【蔵前】

 ◎「ラーメン(並)」七〇〇円+「とろ~り半熟味玉」一〇〇円+
  「ほうれん草」一〇〇円

 …昨日。
  そろそろ桜が咲くとか咲かないとか、世間様は気も漫ろだとか。
  花粉症さえ無ければ、此の時期は重い外套を脱ぎ去って浮かれ気分にも成るが、
  目の痒みや嚔、鼻水に加え、四月からの事を考えると、そんな気分には成れない。
  とは言え、年に一度の花見はやりたいが…。
  さて、話は遡って、真ん中もっこり水曜日。
  此の日の昼御飯は如何しようかと、無い頭を使って考え、答えを導き出す。
  春の麗らの隅田川方向には行かず、毎度の国際色豊かではない国際通りへ。
  建物の建て替えの為、二十三日に閉店ガラガラと成る此方へ、最後の訪店。
  とは言え、今回で未だ三度目だが…。
  硝子戸を開けて店内に入れば、何度嗅いでも馨しい、野性味溢れる豚骨臭。
  其れに醤油ダレの風味も混ざり、店内の空気が既に家系ラーメンしている。
  胸一杯の愛ではなく、獣臭、家畜臭を思い切り吸い込んで深呼吸し乍ら、
  券売機で食券を購入するが、今回は最後なので、菠薐草も増してしまおう。
  「ラーメン(並)」、「とろ~り半熟味玉」、「ほうれん草」三枚の食券を手に、
  止まり木にヨッコイショーイチし、御店主に食券を手渡す。
  「普通で」と御願いし、冷水を汲み、グイっと呷り、ヂッと大人しく待つ。
  閉店ガラガラ前なので、てっきりごった返しているかと思いきや、
  すんなりと入店出来、ゆったりと着席出来てホッとして、暫し寛ぐ。
  そして、五分強で黒塗りの丼が目の前に差し出される。
  手元へと持って来れば、大量の菠薐草の緑が実に鮮やかだ。
  さて、先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
  「六角家」の姉妹店と謳っており、同店で修業された御店主なので、
  多分に「六角家」らしい味わいが垣間見え、一口啜って溜め息が漏れる。
  表面には鶏油が浮かび、円やかなコクが素晴らしく、あっさりだが力強い。
  スープに使うガラは国産の物のみをふんだんに使用して、
  濃厚な豚骨スープを演出し、其のスープに負けない様に特製の醤油ダレは
  其の日のスープの味を見て調整していると言う謳い文句。
  「壱系」の白濁した円やかなプースーも良いが、此のコクが有るのに切れが有る、
  「吉村家」~「本牧家」~「六角家」の流れの味わいも五臓六腑に染み渡る。
  麺はと言うと、「六角家」同様、「酒井製麺」の物で、太目の平打ち麺。
  ツルツル、モチモチとした食感で、市販の生ラーメンっぽさも有るが、
  嫌味が無く、鶏油の効いたプースーも確りと纏わり付いて来る。
  具の叉焼はロース肉で、拘りのチルド肉を使い、肉本来の味を活かしたと言う。
  むちーっとして、蕩ける感じは無いものの、パサつきも無くて中々だ。
  そして、増した菠薐草はと言うと、さっぱりとして、青臭い風味も良く、
  何より量が多く、ラーメンを食べているのか、菠薐草を食べているのか、
  何方か分からなくなる程で、一週間分の野菜を摂取してしまった。
  味付け玉子は黄身がドピュっと飛び出し、「とろ~り」と謳うに相応しい出来。
  海苔も確り三枚入り、此れを白米に巻いて頬張るのも良いが、最後も自重する。
  最後はプースーを飲み干し、たった三回の訪店だったが、其の味に魅了され、
  「御馳走様でした」と、感謝の意を込めて告げて退店する。
  此れで選択肢が一つ減ってしまい、浅草界隈で家系ラーメンはと言うと、
  「豚骨醤油らーめん 浅草隊」か、資本系の「武骨家」、「壱角家」のみか…。