◎「担担麺」八五〇円
…昨日。
今週は春分の日が有った御蔭で、気分的には安らいた感じもしたが、
休みが増えた分、四日間で五日分の仕事を詰め込まねば成らず、
時間が足りず、慌ただしく過ぎ去り、何だかんだで忙しなかった印象。
休みが多いのは良いが、仕事が溜まるので痛し痒しだな。
とは言え、休みは嬉しいが…。
さて、話は遡って金曜日。
別段、大して目出度くも無いが、華金で少しは浮かれたくもなる。
こう言う日の昼御飯は、残り数時間の労働を頑張れる様に、一寸奮発したい。
先週、勇んで出掛けるも、店頭に中華人民共和国人三〇人以上の行列で、
日本人が除け者にされた「宇奈とと」に行き、雪辱を果たそうと向かう。
然しだ。
今回も一〇人以上の中華人民共和国人の行列で、敢え無く追い返される。
もう、良いわね…。
行く当てを失くした中年は、日本最古の地下街・浅草駅地下商店街へ潜り、
三度目の正直で「ステーキ食堂」に入ろうとするも、如何も勇気が出ない…。
此れ又、諦め、今回は絶対に「回転寿司 元祖寿司」には行かず、
宿題としていた、湯島に本店を構える此方で担々麺を頂く事にしよう。
さんざっぱら歩いて、おぢさん、汗だく…。
店に着き、店内に入り、先ずは券売機で食券を購入する。
何と無く、担々麺はルーシーが有った方が良かろうと、「担担麺」に決定。
食券を手渡し、止まり木にヨッコイショーイチすると、「辣油の辛さ」、
「花椒の痺れ」の度合いを訊かれ、予習通り、此方の基準の「3辛」で発注。
辛いのが駄目で、「*」が弱いので、「0辛」、「1辛」が良いのだが、
矢張り、基本の味を知って置かないと嫌なので。
歩いて火照った身体を冷却するべく、冷水を一杯グイッと飲み干し、
更に注いで、噴き出る汗を拭い乍ら、出来上がりをヂッと待つ。
厨房内は五〇年配の男性二人体制で、Wヤングと同じ編成。
一〇分弱で、小洒落た白い皿に乗せられた白い丼が差し出される。
おおっ、見た目も美しい、日本の担々麺だ。
先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
粘度は無く、サラッとした舌触りで、胡麻のコクが確りと感じられるが、
辣油の辛さ、花椒の痺れも確りと、ヴィンヴィンと味覚に訴え掛けて来る。
辣油は九種類の生薬と香辛料から、じっくりと時間を掛けて旨みを取り出し、
パンチの効いた香り豊かな辣油を手作りしていると言い、鮮やかな橙色で、
東京ドームの右翼席が染まった橙色の様で、じわじわと辛味が効いて来る。
花椒は実の一番外側が特に香りが強い為、外側だけを使用しており、
香りが飛ばない様に毎日挽いていると言い、舌がスースーと痺れる心地好さ。
鰻の山椒もそうだが、此の痺れる感覚は、何とも中毒性が有る。
甜面醤は八丁味噌と調味料を合わせて練り上げた手作りとの事で、
豆板醤は四川豆板醤と郫県豆板醤に調味料を加えて練り上げた手作りと言う。
麺は細麺で、スルスルっと入って来て、一連の煮干しラーメンの細麺よりも、
加水率は高目で、然程、バツっと千切れる感じは無いが、口当たりが良い。
途中、卓上の酢を一回り掛け入れる。
一気に味が円やかに成り、辛味の角が取れ、酸味がスーッと染み入る。
こんなに酢を摂取したら、軟体人間に成ってしまうわ。
足の爪を切るのも命懸けで、立位体前屈はマイナス四〇糎と言う硬さだが…。
さて、具は肉味噌、干し蝦、水菜が入る。
汗を拭き拭き、冷水を呷り乍ら、最後はプースーを飲み干し、胡麻の養分を摂取。