◆「ハンバーグの店 ベア」【蔵前】
◎「ハンバーグ+生姜焼き」九〇〇円
…遂に、到頭、無慈悲にも、何の断りも無く、気付けば新年度。
昨晩も御多分に洩れず、仕事絡みの変な夢、然も、蟹工船時代の夢を見て、
夜中に何度か目が覚め、とてもではないが、睡眠負債は返済出来そうにない…。
今朝は何時もより早く、五時三十五分に目覚ましを掛けて起き出す。
初日から遅刻するのは嫌なので、十五分早い電車に乗ったが最後。
何時もの電車ならば座れるが、夜の鶯谷界隈でもないのに立ちん坊。
此れは絶対に良くない事が起きる前兆だと、電車内でわなわなと震えて怯える。
ザギン線で漸く座れ、毎日の束の間の癒しの一時だ…。
午前中は席替え、通常業務に追われ、あっと言う間に正午も廻る。
十三時からは会合が有るのに、昼御飯に行きそびれる始末。
十四時前に何とか隙を見付けて、屋外に出て、深呼吸をして花粉も取り込む。
薬物の御蔭で平ちゃらだ。
さて、今日は如何しようかと思案し、何とは無しに漢堡が頂きたい気分。
と言う訳で、二月二十七日以来、一ヶ月強振り、二度目の訪店。
カランコロンカランと、扉を開けて中に入れば、此の時間なので先客二名。
止まり木にヨッコイショーイチし、献立表を眺める。
四月~九月、一〇月~三月で献立が切り替わり、前回頂いた牡蠣フライは終了。
代わって、四月から加わったのが「ハンバーグ+生姜焼き」と言う組み合わせ。
此れを密かに狙っていたのだ。
何せ、漢堡だけでなく、生姜焼きも一緒に頂けるなんて、パラダイス銀河。
とっとと発注し、冷水を汲みに立ち、出来上がりをヂッと待つ。
厨房内は、奥でおやっさんが揚げ鍋を振り、女店員氏が調理補助を行い、
前回の「有難~う」とざっくばらんな接客をする男性店員氏は出掛けている様。
冷水を呷り、絶望的な左の肩凝りに吐き気を催しそうだが、食事前なので我慢。
一〇分程で手際良く、ちゃちゃっと出来上がって配膳される。
何て素敵な一皿なのだろう。
殆どが茶色じゃないか。
割り箸を手に、先ずは漢堡から一口大に千切って頬張る。
昔乍らのと言うか、家庭的と言うか、素朴だが、こんがり香ばしく、
粗微塵のショリショリした玉葱の食感が軽快で、挽き肉の粒子も感じられる。
テレレは蕃茄醤の味が強めに効いており、やや甘目で、酸味も感じられる。
「イシイのチキンハンバーグ」に似た味付けで、其の点でも素朴で懐かしい。
さて、もう一方の主役、生姜焼きに取り掛かろう。
残念乍ら、マヨネーズは添えられていないが、代わりに何故か練り辛子が。
大宮駅東口の象徴「いづみや第二支店」の名物の「名代 煮込み」や、
四五〇円の高級品「焼き肉」にも練り辛子が添えられていた。
肉には辛子が合うに決まっていると、すっかり忘れていた其の事を思い出す。
いざ、少し塗して喰らい付けば、生姜ダレの味は抑え目の印象で、
ルーシーたっぷりと言う感じではないが、むっちりとした食感の豚肉で、
辛子の辛味がツンと鼻腔を刺激し、花粉症にも効きそうだ。
玉葱もショリショリとした歯触りで、甘味が有り、燻し銀の働き。
勿論、御飯が御飯がススムさん。
じっくりと味わって平らげ、次回は「カニクリームコロッケ」かなと、
相変わらず、蟹クリームコロッケには如何にも弱い…。
途中で帰って来た男性店員氏に会計をして貰い、「有難~う」と送り出される。