◆「宮原元気酒場 もつ焼 エビちゃん別館」【宮原】
…昨晩。
日中は表参道へ、伸び切った頭髪を切り落としに出掛けたは良いものの、
灼熱地獄に見事に遣られ、帰宅後は気絶する様に寝落ちし、気付けば十九時。
嗚呼、こうして、期待の土曜日も更けて行く…。
偶には、重たい腰をドッコイショと擡げ、外に呑みに出てみようかしら。
何とか頑張って、四月十三日以来、一ヶ月強振りの此方へと辿り着く。
…店に入り、独りぼっちの旨を告げ、止まり木にヨッコイショーイチ。
直ぐ様、若い女中さんにピーホツ発注。
ジョッキと外を受け取り、手酌で注ぎ、心の中で乾杯して呷る。
こうも暑いと、暑気払いが捗って仕方が無い。
寝起きで歩いて来た身体に、「金宮」がガツンと来る。
御通しは大韓民国海苔。
…此方の御目当て、肉刺し的な物を纏めて発注。
先に「タン刺し」、遅れて「レバ刺し」と「ハラミ刺し」の盛り合わせが到着。
先ずは「タン刺し」を特製の醤油ダレで頂く。
コリッとした強い弾力を感じるが、ムニッとした質感も心地好い。
豚とのデープキッスは、舌と舌が絡み合う、濃厚な熱いヴェーゼを交わすかの様。
「レバ刺し」は見ての通り、何時もより、火が入り過ぎている印象。
胡麻油と塩のテレレで頂けば、トロンと蕩ける味わいだが、生の質感は薄れる。
「ハラミ刺し」も同様、赤味が感じられず、何時もより熱が通っている。
むっちりとした熟女の肢体を味わう様な食感は、何とか愉しめる。
…ホッピーも三杯を空け、更なる三杯を頂く覚悟で発注。
もう、すっかり酩酊し、良い心持ちなので、此処で帰れば良いものを、
だらしなく、未だ呑もうと言う魂胆。
摘みも発注しようと、一時期、必ず発注していた此れを。
檸檬を搾り、熱熱を頬張れば、塩気も良く、酒と良く合う。
ホッピーを五杯頂き、何だか、桃色気分に成ってしまったが、別段、行く当ても、
行く勇気も無いので、大人しく、反対口で〆て帰ろうと画策する社会不適合者…。