◆「ご馳走Dokoro かねはち」【北鴻巣】
◎「ねぎとろぶつ丼」八六〇円
…心の拠り所の週末の休日も、如何言う訳だか、もうじき終わってしまう様だ。
如何してこんなにも短く、光速で過ぎ去ってしまうのか、不思議で成らない。
一方、平日は矢鱈滅鱈、果てし無く永く感じると言うのに…。
昨晩、鰻を頂いて精を付けたつもりだが、一晩でもう使い果たした。
あっ、別段、本当に使った訳ではないので悪しからず。
正直、そう言う事をする元気も無いので…。
今朝は八時前に起き出せば、起きた傍から暑い。
下手に動くと汗と言う名の豚骨スープが噴き出して止まらないので、
大人しくヂッとして、午前中は極めて自堕落に、非生産的に過ごす。
十一時を廻り、買い出しがてら、昼御飯を摂りに外に出よう。
何でも、聞く所に依ると、鴻巣の花卉市場の中に海鮮丼で有名な店が在ると言う。
川幅日本一である当市に因み、幅の有る鮪の柵を豪快に乗せた「川幅丼」や、
多種多様な魚の献立が有ると言い、こうしちゃ居られないと現場に急行する。
四〇分程で到着すれば、施設の二階、市場の食堂の様な位置付けの此方が在る。
評判を聞きつけて来たであろう原住民等で賑わい、押すな押すなの大騒ぎ。
十二時一〇分過ぎだが、券売機には赤い「✕」が多数灯っている。
「上鉄火丼」、「うにトロ丼」、「海鮮丼」と軒並み売り切れで、
大いに出遅れた感が有り、「カレーライス」、「ハムカツ定食」等、
何処でも食べられる物を頂くつもりは毛頭無いので、何とか、其れらしい、
「ねぎとろぶつ丼」と言うのを見付け、食券を購入し、席が空くのを待つ。
客が自主的に行う方式の様で、席が空いたら勝手にヨッコイショーイチし、
食券を手渡しに行き、番号札を引き換えに貰う様で、何とか其れ等を済ませる。
冷茶を注ぎ、グイグイ呷って待ち、テレヴィヂョンでは夏の暑さを募らせる、
全国高等学校野球選手権大会の埼玉県予選の決勝戦が点いている。
二十五分待ち、「七十四番の方~」と、病院で検査の順番を呼ばれたかの様に、
番号札を手に、「ねぎとろぶつ丼」を受け取りに立ち、御対面を果たす。
脂の乗ったトロの部位の剥き身で、陸の孤島、埼玉県と言えど此れは立派だ。
小皿に醤油を溜め、山葵を溶かし、其れを鮪に豪快にぶっ掛けたら準備万端。
味噌汁で口を潤したら、「ねぎとろぶつ丼」を掻っ込む。
鮪は生鮪と思われ、パサつきや安っぽさなんて物は丸で無く、
肌理の細かい脂が口内で蕩け、しっとりとした旨味が染み込んで行くかの様。
嗚呼、呑みたくなっちゃうわ…。
大口で食べてしまうのが惜しい程で、ちびちびと貧乏ったらしく大事に頂く。
鮪の蕩ける濃厚な味わいとが心地好く、葱と生姜の甘酢漬けとも良く合う。
一〇〇〇円出して良いから、御飯が見えない様に鮪を敷き詰めて貰いたい。
あっと言う間にペロッと平らげてしまい、物足り無さを感じつつも、
次回は早出で「うにトロ丼」を頂こうと、固く誓うポンコツおぢさんであった。