◆「中華そば専門 田中そば店」【浅草】
◎「山形辛みそ」九〇〇円
…木曜日。
此の暑さの所為で、思考は完全停止し、彼是と考える事が頗る億劫で、
如何してこんなに辛い思いをして迄、生きて居なきゃいけないのかと、
其の事を考える事も出来ず、呆け老人の様に、垂れ流しの人生を送る毎日…。
心身の警告反応も著しく、此の暑さでの心身の損傷は計り知れない。
夏が好きとか言っている人の気が知れず、きっと、頭が可笑しいのだろう…。
さて、話は遡って木曜日。
又しても右耳付近の不調から、痛みを発症し、具合の悪い状態だが、
此の日も運良く、独りぼっちで昼御飯を摂る機会に恵まれ、耳痛を押して、
炎天下のとち狂った暑さの中、サンダーボルトゲート方面へ歩き出す。
「中華そば つし馬」から転換後、二月二十六日の初訪店以来、二度目の御邪魔。
店に着けば、店外の券売機前では夏休みなのか、遊び呆けて浮かれ狂った、
幸せを装った仮面家族四人が間誤付いており、彼是と家族会議をする始末。
暫くヂッと、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、家族会議を見届けた後、
漸く番が廻り、食券をとっとと購入し、店内へと入ってヨッコイショーイチ。
大陸系の女中さんに食券を手渡し、「ヤマガタイッチョ~」と発注を飛ばされる。
冷水を呷り、店内のジンガイや家族連れの喧騒に不快感を感じつつヂッと待つ。
一〇分強で「ヤマガタデ~ス」と、あき竹城かの様に配膳される。
先ずは蓮華を手に取り、其の儘のプースーから啜ろう。
動物系の出汁も確りと効いており、表面には分厚い油層が構築されている。
然し、諄さは然程感じられず、うん、悪くないじゃないか。
麺はつるつるとした口当たりで、加水率高目のぷりっとした食感。
若干、軟らか目の印象だが、啜れば踊る様に暴れ回る。
さて、続いては辛味噌玉を徐々に崩し乍ら、味を変えて行こう。
言わずもがな、「赤湯ラーメン 龍上海」を模して拵えられたラーメンで、
大蒜のパンチが頗る効いた辛味噌は、新しい衝撃を齎して呉れる。
辛さは割かし抑え目だが、プースーは見る見る内に橙色から赤色に変化し、
其の旨味が溶け出し、自然と噴き出す汗の量も比例して増える。
そして、如何せん不器用なので、橙色のプースーを跳ね散らかし、
襯衣に染みを作り、気分も落ち込むが、まあ、ずっとこんな人生だ…。
具の叉焼は、プースーの熱で蕩ける軟らかさへと変化し、とろとろで旨い。
此れを摘みに一杯飲むるのも一興だろう。
麺麻はデラロサ色をしており、味が染みていて素敵だ。
何だかんだ、最後はプースーを飲み干してしまい、汗だくの状態で、
大蒜臭を漂わせ乍ら、午後の業務に戻る迷惑な小兵力士…。