続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「らーめん 改」【蔵前】

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◆「らーめん 改」【蔵前】

 ◎「全部入り煮干つけ麺」一一二〇円

 …水曜日。
  毎年の事だが、如何してこうも、夏は僕をこんなにも苛立たせるのか。
  不快極まりなく、夏に対して、遺憾の意を表する。
  人を殺める季節なんて、無くて良いだろ。
  百歩譲って、千歩譲って、マンボは踊らないが、汗さえ掻かなきゃ未だ赦せる。
  暑さの所為で、身体から豚骨スープを噴き出し、背脂が蕩ける理由が分からない。
  生きている意味を見出せない…。
  さて、話は遡って水曜日。
  最早、暑さと老化の所為で、真ん中もっこりもしないが、此の日は運良く、
  独りぼっちで昼御飯を摂りに出る機会に恵まれ、灼熱地獄の屋外へ出る。
  外気を吸い込んだら、喉ティムポが火傷し、食道が爛れそうな中、
  肌を突き刺す陽射しに眉を顰め、汗を拭いつつ、久し振りの此方へ。
  十四時なので並びも無く、店内に入り、食券を購入して手渡し、
  一番手前の止まり木にヨッコイショーイチ。
  二号店の「中華ソバ ビリケン」に御店主が掛かり切りなので、
  其れ以外の布陣で切り盛りしており、新人の研修も兼ねている模様。
  冷水を呷り、火照った身体を冷却し乍ら、出来上がりをヂッと待つ。
  後から客が続々と襲来し、あっと言う間に満席に成り、僕の隣には欧米人。
  一〇分強でつけ麺が配膳され、六月二十六日以来、約一ヶ月半振りの対面。
  相変わらず、洗練された凛々しい佇まいに、荒んだ心が昂りを覚える。
  先ずは麺の上の海苔四枚と、卑猥な桃色の叉焼四枚の内、二枚をつけ汁に移動。
  したらば、麺を手繰り、つけ汁に浸して、プリン体を摂取する。
  つけ汁の器はチンチンに熱く、麺の丼はキンキンに冷たく、肌理細かい気配りで、
  温かい物は温かく、冷たい物は冷たく頂けるのが有難い。
  つけ汁は心丈夫な洋灰色をした、建築資材の様な色合いと粘度。
  一口啜れば、ガツンとした煮干しの風味が脳味噌を揺さ振るかの様に薫る。
  強烈な煮干しの味わいだが、投入された刻み玉葱や柚子が華を添える。
  此方は青梅の名店、鯛と海老で有名な「らーめん・つけめん いつ樹」、
  支店の「らーめん 五ノ神製作所」の御出身と言う事で、「貝塩らーめん」含め、
  魚介系の使い方が絶妙で、培った手法が確りと活かされているのであろう。
  動物系も侮る勿れ、ドロッと粘度も有り、出汁も確りと効いている。
  麺はと言うと、全粒粉入りの太麺で、つけ汁が否が応でも確りと纏わり付く。
  色味はやや茶色を帯びており、粉の風味が感じられ、麺自体に旨味が有る。
  確りと冷水で〆られ、水切りも抜かりが無く、もっちりとした腰と弾力、
  むっちりとした張り、つるっとした喉越し、全てに於いて秀逸。
  さて、綺麗な桃色、若い婦女子の肉襞色をした叉焼に取り掛かろう。
  しっとりとした潤いに満ちた口当たりは勿論、ムチッとした肉感的な食感、
  淫靡で卑猥な舌触りは格別で、四切れも有ると嬉しくなってしまう。
  時間差で残りの二枚を投入すれば、若々しい張りと弾力が堪能出来る。
  味付け玉子は、既に罅が入っていたので、一口齧ると割れてしまう。
  ねっとりとした黄味は円やかで濃厚、味付けは甘目。
  具は他に細目の麺麻、海苔、葱。
  左隣のジンガイと言えば、「貝塩らーめん」を発注した様で、
  首から提げた写真機でバシャバシャと、色々な角度、高さから何枚も撮影し、
  心の中で、「ナニ山紀信だよ!」と突っ込んでみる。
  妙に日本語も流暢で、変なジンガイが増殖している様だ…。
  其れはさて置き、つけ汁を残らず飲み干し、プリン体を充填して退店する。