続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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二月上席池袋演芸場(二月六日)

遅れ馳せ乍ら、今年の初笑いに出掛けようと決意する。
何せ、当席昼の部のトリは、今や落語界随一の人気を誇る柳家喬太郎師が務める。
初めて寄席に行った際の「寿司屋水滸伝」で出会ってからは、独演会にも何度か出掛けた。
然し、今と成っては、寄席に出ると成っては長蛇の列が出来る程の人気者。
其の大行列を覚悟で出掛けようと決めたものの、此の日は生憎の休演。
とは言え、其の代演が柳亭市馬師とあっては、出掛けない訳には行かない…。
「らーめん大 池袋店」で大蒜を過剰摂取した後、池袋演芸場に出掛けると、
既に四〇人近い行列が形成されており、喬太郎師が休演だと知っているのだろうか…。
予定の開場時間より少し繰り上げて入場し、席も何とか端っこを確保出来る。
開演前に既に開場は満員で、当然乍ら、立ち見が出る中で幕が開く…。

●二月上席池袋演芸場(二月六日)
(昼の部)
 柳家さん若:「猫の茶碗」
 伊藤夢葉:マジック
 柳家さん弥:「代脈」
 柳家喬之助:「芋俵」
 柳家小菊:俗曲
 橘家文左衛門:「手紙無筆」
 柳家喜多八:「薬缶舐め」
 大瀬ゆめじ・うたじ:漫才
 三升家小勝:「長短」
 ―中入り―
 柳亭左龍:「短命」
 柳家一九:「善哉公社」
 林家正楽紙切り(相合傘~擬宝珠~ヴァレンタイン・デイ~朝青龍
 柳亭市馬:「饂飩屋」
(夜の部)
 柳家右太楼:「元犬」
 柳家我太楼:「千早振る」
 伊藤夢葉:マジック
 五明楼玉の輔:「マキシム・ド・呑ん兵衛」
 古今亭志ん馬:「紙入れ」
 すず風にゃん子・金魚:漫才
 古今亭志ん橋:「鮑熨斗」
 ―中入り―
 柳家小権太:「初天神
 柳家〆治:「悋気の独楽
 翁家和楽社中(和楽、小楽、小花):太神楽曲芸(傘~五階茶碗~ナイフ)
 柳家権太楼:「不動坊」

僕は文左衛門師の威勢の良さと、がらっぱちな感じが堪らなく好き。
此れを古典落語に巧く取り入れ、独自の文左衛門ワールドの「手紙無筆」を好演。
続いては、御馴染みの気怠るそうに高座に上がる喜多八師。
間抜けな武士を演じたらピカ一で、薬缶頭を舐められ、家来に笑われる侍に場内は大爆笑。
昼の部のトリは代演の市馬師で「饂飩屋」。
物売りの売り声は師の美声を惜しみなく聴け、饂飩を啜る所作は、蕎麦とは明らかに違い秀逸。
マクラでの先代・小さん師の話が面白い…。
夜の部の玉の輔師は、個人的に好きな三遊亭白鳥師の代表作の「マキシム・ド・呑ん兵衛」を、
「マキシム・ド・足立区」と店名を変えて演じる。
そして、志ん橋師も非常に好きだ。
「熊の皮」然り、だらしない亭主としっかり女房の遣り取りを演じたら最高。
そして大トリは、御存知、権太楼師。
何を聴いても面白い。
死んだ不動坊火焔の女房・お滝さんを貰う事になる吉公の燥ぎっぷりの壊れ方や、
アルコールと間違えて、餡ころを買って来たちんどん屋の万さんの馬鹿さ加減には場内大爆笑。
泣き乍ら腹を抱えて笑い転げる婦女子の姿も見られる程。
正に名人芸で、三十五分の熱演に大満足。
嗚呼、だから寄席通いは止められないな…。