◆「居酒屋 やず」【宮原】
…月曜日。
溜まった代休を、何とか休めそうな日を見付けて捻じ込む日々。
週末に確りと労働した後に、直ぐに休みを宛がいたいものだ。
日中は極めて非生産的に過ごし、疲労で午睡に興じたりし乍ら、
気付けばあっと言う間に夜に成り、晩御飯の心配をする。
折角なので呑んでしまおうと、七月三日以来、四ヶ月半振りに此方へ…。
◎「アサヒスーパードライ生ビール(中)」四五〇円
…厨房前のカウンター席の端っこに空席を見付け、マスターに挨拶を済ませ、
女中さんに先ずは麦酒を発注し、此の日の口開けだ。
日中に呑まずに我慢した甲斐が有る。
グイッと呷れば、苦味の効いたプリン体が、スッと入って来る。
御通しは鰆の南蛮漬け。
◎「手造り塩辛」三八〇円
…麦酒も二杯目に突入し、何を頂こうか、未だに決まらないで居ると、
マスターが此れ見よがしに、是非食べて欲しいと薦めて来る。
仕込んだばかりの塩辛が有ると言い、生の烏賊から拵えた自家製だ。
偶さか、前日に御近所さんと拙宅で呑んだ際、御手製の塩辛を持参して呉れ、
其れが非常に美味しく、塩辛を身体が欲していた所だったので丁度良い。
腸の濃厚さが堪らなく、塩分は控え目、柚子の皮の風味が爽やかだ。
烏賊も適度な歯応えで、げそやエンペラの部位も僅かに入っている。
◎「まぐろ納豆」四〇〇円
…さて、二品目は、冷蔵庫に張り付けられた白板に記されたメニューから、
生魚もちったぁ頂いておきたいので、此れが宜しそうだ。
只の鮪のぶつも有るのだが、納豆が入るなんざ、大好きだ。
納豆は「おかめ納豆」で、鮪は小さ目の賽の目状で、山葵醤油和え。
ヅルヅルと汚らしい音を立て乍ら摘み、麦酒で押し流す。
此れに味付け海苔が有ると、巻いたり乗せたりして愉しいだろうな。
◎「ベーコンエッグ」四〇〇円
…今回は瓶保管の「電氣ブラン」は自重し、麦酒のみで攻めよう。
と言うか、「電氣ブラン」の残量が少なく、新しく瓶を入れるだけの手持ちが、
財布に入っていなかった、と言う情け無い理由に過ぎないのだが…。
で、続いては、此れだ。
個人的に、目玉焼き、ハムエッグ、ベーコンエッグを摘みに酒を呑めたら、
真の酒呑みと言う感じが有り、「いづみや第二支店」等で何度も実践済みだ。
仏蘭西料理が本職だったマスターが作るベーコンエッグ、此れが良い。
ベーコンはカリッと焼き上がり、油が多目で拵えられているのだな。
白身はトロっと軟らかく、黄身も半熟どころか、殆ど生のトロットロ。
黄身を割らない様に口内に運び、一気に割り、玉子の旨さを堪能する。
玉子って、最高だ。
麦酒三杯を頂き、ラーメンを食べたり、婦女子の接待を受けたりしないで、
真っ直ぐと、大人しく帰るポンコツおぢさん…。