◆「北大塚ラーメン」【大塚駅前】
◎「チャーシュー麺(中)」八〇〇円
…水曜日。
気が付けば、睦月は何時の間にか過ぎ去り、如月へと移り変わる。
つい此の間、マッカーサーが来たと思ったら、もう節分だ…。
年明けに厄除けに行ったが、一月から波乱の幕開けで、先が思い遣られる。
今年も心身が持つか如何か、甚だ疑問だ。
話は遡って水曜日。
此の日は数ヶ月振りに、終日池袋での仕事。
午前中からパーソナルなコンピューターと睨めっこで資料作り。
此れ又、胃が痛む仕事ではある…。
十三時を廻り、腹が減っては何とやらと言うので、昼御飯を摂りに外へ出る。
外套の襟を立てて風を凌ぎ、大塚駅へと歩き出す。
一月五日に御邪魔して以来、貧困の為に間が空いてしまった此方へ。
店外に待ちは無いが、店内は満席で、中に入り、先ずは食券を購入する。
すっかり、「チャーシュー麺」に魅せられてしまっているので、今回も此れ。
食券を提示し、「中で」と告げ、席が空くのを待ち、一〇分強で漸く着席。
厨房内は、蒙古出身と言う御夫婦が何時もの様に、ゆるっと切り盛りしている。
女将さんの「ハイ、イラッシャイマセ、ドウモ、ドウモ~」の声が良い。
麺茹で、プースー担当の御主人、叉焼、盛り付け担当の女将さんと、
狭い厨房内でも作業分担が為されており、如才無い動き、連携だ。
更に一〇分の後、目の前にラーメンが差し出される。
相変わらず、叉焼が丼一面を覆い尽くした、素晴らしいラーメンだ。
先ずは蓮華を手に取り、叉焼の隙間に蓮華を捻じ込み、プースーを啜る。
昔乍らの街のラーメン屋の中華蕎麦を思わせる、懐かしい味わいも有るのだが、
何処と無く、蒙古出身の御夫婦と言う事も有るのか、大陸系の何かを思わせる、
そんな味わいも有る様な気もするが、僕の馬鹿舌では、判別は到底無理な話…。
叉焼から豚の旨味も染み出しているだろう。
麺はと言うと、「中華麺」と書かれた袋から出された物で、自家製麺でもなく、
有名な製麺所の物でもないと思われるが、優しいプースーに合っている。
中太と言った感じで、加水率はやや低め、程好い腰と弾力、喉越しが心地好い。
叉焼はと言うと、此れはもう、「ネ申月豕」認定して良かろう。
バラ肉を煮込んだ物で、五ミリメートル程の厚さに切られた物が十二、三枚程。
赤身の部位は、適度な噛み応えが有りつつも、繊維に沿って解れる軟らかさ。
脂身の部位は、プルン、トロトロ、トロンとブルージェイズ。
「あ゛ー」と唸ってしまいそうに旨く、ずっと噛んで居たいが蕩けてしまう。
食べてしまうのが惜しいが、食べても減らない程に入っているのが心丈夫だ。
此の費用対効果は素晴らしく、感動すら覚える。
具は他に、茹で玉子半個、麺麻が入る。
其の麺麻も自家製ではなく、袋から出される業務用の普通の麺麻だが、
麺も然り、特筆すべき拘りは無いのだが、完成すると、確りと纏まった一杯に。
矢張り、此方は叉焼が有ってこそのラーメンだな。