◆「天婦゜ら あづま」【大宮】
…木曜日からの四連休も、早くも三日目。
もう、此処迄来ると、重苦しい気分の方が比重が高く成っている…。
況してや、火曜日から喉の痛みが始まり、徐々に咳、痰、鼻水の症状が出始め、
夜も落ち落ち寝ても居られず、一時間置きに苦しくて目が覚める始末。
今朝は七時には起き出し、午前中は極めて自堕落に、非生産的に過ごす。
正午を廻り、風邪っ引きの岡っ引きだが、力を振り絞って動き出す。
来週の父親の誕生日に、芋焼酎でも贈ろうと、大宮の街へと出掛ける。
買い物の前に、先ずは腹拵え。
此処最近、何だか妙に旨い天丼を頂きたい欲求が僅か乍ら有り、
態々、浅草や柴又に出掛ける気力も無いので、身近で頂ける店を検索していた。
勿論、「てんや」は排除…。
大宮に古くから住んでいる人間は、誰もが知っている此方。
斯く言う僕も、場所は知っては居たが、御邪魔するのは初めてと言う潜りだ…。
◎「ノンアルコールビール」四三二円
…十二時四十五分過ぎだが、先客は居らず、一瞬、怯んでしまう。
一先ず着席し、今日は自動車なので、非酒清飲料を探し、此れを発注。
三〇〇ミリリットル一寸の可愛らしい瓶の御出座し。
手酌で呷り、天丼の出来上がり迄を繫ごう。
もう、日常的な晩酌を止めてから五ヶ月程経つが、肝臓の値も改善してしまう。
此れに慣れてしまうのかな…。
◎「かきあげ天丼」一六七四円
…さて、主役の天丼はと言うと、「天丼」、「海老天丼」、「かきあげ天丼」、
「みに天丼」と四種類有り、思案した結果、「かきあげ天丼」を発注。
中学校の時分、今は亡き友人T君に連れられ、今考えると生意気だが、
湯島の「てんぷら 天庄」に連れて行かれ、天丼を頂いた思い出が有るが、
懐かしさと感慨深さが有り、愛しさと、切なさと、心強さは無い…。
さて、非酒清飲料を三分の二程を飲んだ頃合いで、天丼が配膳される。
ドーンと大きな掻き揚げが乗り、テレレがたっぷりとぶっ掛けられている。
僕の手の大きさ程は有ろうかと言う巨大さ。
此の掻き揚げの中身は、小海老、烏賊、椎茸との事。
箸で突き、一口大に千切り、此れを頬張る。
熱熱で、胡麻油の馨しい風味がふわっと薫る。
衣はカリッと、サクッと香ばしく、軽い揚がり具合で、胃凭れとは無関係だ。
小海老は火が通り過ぎて硬いなんて事は丸で無く、絶妙の火加減と言うか、
プリッとした弾力、軟らかさが秀逸で、甲殻類の旨さが堪能出来る。
烏賊は程好い噛み応えで、シコッとした食感で、鯣烏賊だろうか。
そして、椎茸はクニュッとして、風味も良く、地味だが存在感が有る。
テレレは甘過ぎず、サラッとした物で、辛目の仕上がりだろうか。
甘くてとろみの有る様な、安っぽいテレレではゲヴォ出ちゃうからな…。
御飯の量は少な目で、御上品な感じ。
御香香、赤出しが付く。
メニューは他に、刺身類、〆鯖、生牡蠣、鮟鱇肝、「たこのやわらか煮」、
蓴菜、焼き魚等も有り、石油を掘り当てたら、是非とも夜に来たいな…。