◆「塩そば専門店 桑ばら」【池袋】
◎「牡蠣出汁肉中華そば」一一〇〇円
…月曜日。
今週も、長く険しい一週間を終え、週末の休日に漕ぎ着ける。
毎日、分からない事の連続で、四苦八苦し、正直、辛い…。
徐々に覚えてはいるが、不安なので、念の為の確認で、他者に確認を求めれば、
其れは流石に訊かずに覚えろと言われたら、もう何も訊けないわね。
だから、「念の為の確認」と前置きして訊いているにも拘らず。
生きている価値を見出せない…。
さて、話は遡って月曜日。
休み明けは如何しても気分が重く、どんよりとした鈍色の雰囲気が支配する。
月曜日に突然死や自害が多いと言うのは、大いに納得出来、共感出来る…。
此の日も、週次の業務に追われ、午前中はあっと言う間に過ぎ去って行く。
十三時半を廻り、唯一の外出の機会を最大限活かそうと、昼御飯を摂りに。
選択肢が多い分、悩む事も多い。
ラーメンを頂く事が圧倒的に多いが、偶には他の物も頂こうかと血迷う。
仕事中に不意に浮かんだので、六〇階建ての「日光六〇」の地下街へと向かう。
然し、駄目な人間は何をしても駄目な様で、何てこったい休館日…。
此の手の連鎖店は、休み無く営業していると思うじゃんか。
まあ、館の方針に従わざるを得ないのだろうな…。
すっかり当てを失くした駄目人間は、踵を返し、地上へと戻る。
困った時は、此方の「裏そば」を検索する様にしているが、此の日はと言うと、
「牡蠣出汁肉中華そば」としてあり、大いに惹かれるが、値段が載っていない。
御高いんでしょう~?と思いつつ、店に到着し、券売機上の白板を確認。
「本日の裏そば! ◎牡蠣出汁肉中華そば 1100円」と書かれている。
月末に此の出費は痛手だが、仕事のストレス解消だと思えば安かろう。
一〇〇〇円の「塩ワンタンそば」の食券を購入し、一〇〇円硬貨を握り締め、
全開にされた出入り口から、暖簾を跳ね上げて入り、端っこの席に。
食券と一〇〇円硬貨を手渡し、「裏そばで」と御願いする。
厨房内は店主氏と女性店員氏の二人体制で、ヒロシ&キーボーと同じ編成。
然し、店内の音楽は「三年目の浮気」ではなく、ももいろクローバーZ。
漢字で表記するなら、「桃色白詰草乙」とでも言うのだろうか。
何も、漢字表記にする必要は無いのだが…。
此の数日前から「裏そば」を検索していたが、前々日の土曜日はと言うと、
「牡蠣ホワイト」、前日の日曜日は「牡蠣塩そば」で、此れで十一月迄、
もう牡蠣は御終いと記されていたが、牡蠣の出汁でもう一日分とは流石だ。
相変わらず、五分と掛からずに配膳される早業は、恐れ入谷の鬼子母神。
案の定、牡蠣の身は入っておらず、其の代わりに叉焼が五枚入る。
先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
昨年十一月三〇日に頂いた「牡蠣の中華そば」の時は、一口啜れば、
ぶわっと、牡蠣の風味が一気に押し寄せ、牡蠣、貝類特有の仄かな苦味が、
旨味へと昇華された味わいだったが、今回のは甘味が強めに出ており、
苦味は感じられず、膨よかな、芳醇な風味は高級感を漂わせている。
麺は、「裏そば」では御馴染みの平打ちの中太麺。
やや黄色味を帯び、表面はツルツルとして、加水率は高目。
モッチリとした食感は有るが、茹で加減は軟らか目の部類。
叉焼は、通常の「塩そば」等で使用される物とは違う様で、バラ肉だろうか。
やや厚めに切られ、赤身の部位はさっくりと千切れ、脂身の部位は軟らかい。
味付け玉子は黄身がねっとりと濃厚で、ピュッと飛び出す類型ではないが旨い。
具は他に麺麻、海苔、葱が入る。
最後はプースーを飲み干し、午後の業務に戻る足取りは決して軽くない…。