◆「煮干中華そば のじじR」【本所吾妻橋】
◎「煮干中華そば 冷STAGE」七五〇円+「煮卵」一〇〇円
…月曜日。
今週も草臥れ、心が折れ、熟熟、生きる事に向いていないと痛感する。
注意、指導を受ければ、心がぞみぞみし、吐き気を催し、労働中に吐瀉しそう。
深い溜息も多くなり、僕の頭上の臭氧層にぽっかりと大きな穴が開いていよう。
桃色吐息なら良いが、牛の曖気並みの二酸化炭素なので…。
さて、話は遡って、心が折れる前の月曜日。
此の日は珍しく、独りぼっちで昼御飯を食べに出る事が出来る。
「らーめん 元楽」でも良いのだが、減量も兼ねて、少し歩こうかね。
暑い中をてくてくと、汗だくで東京晴空塔の麓、本所吾妻橋へと辿り着く。
扉を開けて中に入れば、先客は二名のみで、先ずは一安心。
さて、券売機と向き合おう。
初回は運良く、不定期の「煮干中華そば EX-HARD」に在り付け、
二度目は火曜日限定の「HARD(裏)」を狙い撃ちで頂き、
前回は常設の「HARD」が売り切れで、「NORMAL」に甘んじる。
最低でも「HARD」を狙うが、おっ、夏期限定の献立が有るぞ。
其の名も「煮干中華そば 冷STAGE」と言い、冷たい煮干しラーメンの様だ。
気紛れで、前回の「メンマUP」ではなく「煮卵」の釦をポチっとな。
食券を手渡し、手前の端っこの止まり木にヨッコイショーイチ。
冷水を呷り、歩いて火照った身体を冷却し、出来上がりをヂッと待つ。
厨房内は男性二人体制で、コント・レオナルドと同じ編成。
そして、一〇分程で、キンキンに冷やっこい、何時もの瀟洒な丼が目の前に。
手元へと下ろせば、あら御洒落。
只の氷ではなく、出汁を凍らせた物で、融けて味が薄まらない気遣い。
先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
キーンと冷たく、煮干しの風味は強過ぎず、鰹と合わせた様な和風出汁は、
表面にきらきらと浮かぶ香味油と相俟って、旨味がじんわりと伝わって来る。
嗚呼、冷たい此のプースーを水筒に入れて持ち歩きたい…。
もう少し煮干しが主張していても良い気がするが、冷たくすると、
苦味や酸味が際立ってしまうのか、此れが丁度良い塩梅なのだろうな。
続いて、麺を手繰って啜ろう。
細麺は確りと冷水で〆られた上、出汁氷が入る冷たいプースーに浸されており、
冷麺を思わせる様な強烈で強靭な腰で、歯を押し返さんばかりの勢い。
只でさえ腰が効いているのに、其れを〆たので、数倍にも弾力が増している。
此れは噛み切るのも容易じゃない程で、咀嚼して居て愉しい麺だ。
叉焼はと言うと、通常の温かい「煮干中華そば」では豚バラ肉の煮豚だが、
此れは鶏の胸肉を巻いた物で、淡白な味わいだが、しっとりとした口当たりで、
パサつきは無く、冷たいプースーで硬くなる事も無く、至って美味。
御馴染みの賽の目状の麺麻もシャキシャキ、サクサクとした歯触り。
「煮卵」も硬くなってしまうかと危惧したが、そんな心配は無用の軟らかさ。
ぷるんとして、齧れば黄身がどぴゅっと飛び出し、ねっとりと濃厚。
具は他に陸蓮根、白髪葱、糸唐辛子。
最後はプースーを飲み干せば、身体の内側からひんやりと爽快。
然し、暑い中を歩いて戻れば元の木阿弥…。