…昨日。
黄金週間四連休も二日目。
何だか既に、重苦しく、不穏なサザエさん症候群を患っているが、
其れを払拭するべく、ちったぁ、連休らしい、生産的な事をしてみよう。
すっかり、身近で遊んで呉れる人も居ないので、湘南在住の同僚の方をお誘いし、
何処か出掛けようと言う話に成り、幾つかの候補の中から長野に決定する。
大宮駅一〇時三十四分発の夢の超特急、新幹線「かがやき五二三号」に乗車。
車中、勿論、本物の麦酒を空けるが…。
大宮駅で乗ったら、次はもう長野駅で、一時間で着くと言うから吃驚だ。
長生きはしてみるものだ…。
◎「ビール(大)」六五〇円*二本
流石は雨男…。
長野駅に到着すれば結構な雨で、空気もひんやりと清々しく、暫し雨宿り。
もう正午なので、昼御飯は先ずは蕎麦が良かろうと、予めの目星の此方へ。
其の昔、佐久平駅前に在る「佐久の草笛」には何度か御邪魔した事が有り、
父親の故郷である上田にも「上田店」が在る此方の蕎麦店へ。
大型乗り合い自動車の総合発着所の地下に在り、店内は矢鱈と広い。
席に案内され、ヨッコイショーイチするも、混んでるので時間が掛かるとな。
折角の旅なので、其れ位は何て事は無い。
先ずは麦酒を発注し、酌をし乍ら、久し振りの遠出の開始を祝う。
◎「山菜天ぷらミックス」七二〇円
…麦酒を配膳した調子の良い、六〇年配の女中さんが「たらの芽の天ぷら」、
此れが御薦めだと唆して来るので、折角なのでと話に乗っかれば、
此の日は楤の芽とこごみ、俗に言う、草蘇鉄の相盛りも出来ると言い、
蕎麦よりも早く、摘みとして出して呉れると言うので、まんまと嵌められ発注。
此の混み様なので、てっきり、此れから山菜採りに行くのかと思ったが、
一〇分程でサッと出て来る辺り、商売上手、ヤリ手婆だ…。
サクッと軽く揚げられ、草蘇鉄は若干の滑りが心地好く、麦酒の当てに最適だ。
◎「お得セット〔A〕もり蕎麦+かきあげ」八〇〇円
…麦酒と山菜の天麩羅を堪能し乍ら、少し落ち着き、其れから結構待つ。
まあ、提供に時間が掛かると言う念押しを受諾して入ったのだから文句は無い。
例え、今から蕎麦の種蒔きをしようが、文句が言える筋合いは全く無い。
入店から四〇分程経ったろうか、移動の疲れを癒すには丁度良く、
其処へ御目当てのバーソーとプラテンが運ばれて来る。
此方の蕎麦は良心的で、普通の「もり蕎麦」が六一〇円と言う値段で、
余所の蕎麦屋なら、ひとちょっぽの盛りで一〇〇〇円超えなんて店も有るが、
量もたっぷりと有り、腕白、もとい、デヴには大いに助かる。
蕎麦つゆに薬味の葱、大根卸、山葵を投入し、さて、蕎麦を手繰ろう。
脈々と受け継いで来たと言う、歴史に裏打ちされた旨さだ。
地産地消を目指し、年々地域に蕎麦の栽培面積を増やしてつつ、
更に、浅間山麓の地に栽培地を広げ、約二十七陌の自社専用栽培農場で、
蕎麦品種「信濃一号」を自社栽培していると言うから安心だ。
小諸と言う盆地特有の寒暖の差が大きく、冬は寒冷な気候で、
浅間山の噴火が齎した弱酸性の火山灰の土壌が蕎麦の生育に適していると言う。
長野県の血が半分入っている僕からしたら、如何にも嬉しく、ホッとする。
微かな蕎麦の滑りが風味を良くし、腰が効いていて、清涼で美味。
蕎麦つゆも甘からず、辛からず、旨からずなんて事は無く、全く以って旨い。
掻き揚げは別皿で天つゆを用意して呉れる。
具は玉葱と桜海老と言う、簡素乍ら、鉄板の組み合わせの正しい掻き揚げ。
年老いて衰えて来た僕でも、普段なら胸焼け、胃凭れを起こす所だが、
そんな心配は皆無で、カラッと軽い揚がりなので助かる。
最後は蕎麦湯で〆、外に出れば、先程の悪天候が嘘の様な五月晴れが広がる…。
~御負け~
大宮駅に入線して来る「かがやき五二三号」金沢行き。