続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「中華料理 迎春軒」【日進】

◆「中華料理 迎春軒」【日進】

 …唯一の生きる希望の週末の休日も、容赦無く、終焉を迎えようとしている。
  休みが終わるのが淋しいのじゃなくて、休みが終わると思う事が淋しい。
  否、休みが終わるのが切ないのじゃなくて、休みが終わると思う事が切ない…。
  昨晩は些か飲酒をした為、熱帯夜も相俟って、熟睡する事は出来ず、
  一、二時間置きに目覚める夜半を過ごし、朝は疲労して八時過ぎに起き出す。
  風呂に入って身を清め、午前中は極めて自堕落に、非生産的に過ごす。
  正午を廻り、やおら動き出し、昼御飯を摂りに、炎天下、歩いて出掛ける。
  不意に、昔乍らの中華料理屋、俗に言う「町中華」の味に触れたくなり、
  我が街に在る「上海飯店」、「六長軒」、「迎春軒」の中で、未訪の此方へ…。

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 ◎「ビール(大ビン)」五九〇円
 …十二時十五分に到着し、恐る恐る引き戸を開けて中に入ると、先客は無し。
  行き成り、デヴ中年が入って来て焦ったのか、女中さんが慌てる様にして、
  窓を閉め、冷房を点け、扇風機を廻し、店内を涼しくし始める。
  女中さん二名で切り盛りしている様で、年季の入った壁を眺め、
  先ずはルービーを発注し、正しい日曜日の昼間を堪能する事に。
  手酌で遣れば、ゆっくりと時間が流れている様で、何とも緩やかな心持ちだ。
  子供の頃、母親が出掛けて居ない日曜日の昼、父親に連れて行って貰った、
  今は無き、大和田の「池田屋」の様な、町のラーメン屋の雰囲気が心地好い。
  歳をして来ると、懐古趣味と言うか、ノスタルヂィに浸りたくなる…。

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 ◎「餃子」四五〇円
 …さて、麦酒の摘みにと、町中華の実力を試すべく、餃子を発注。
  何か、此の佇まいが素敵だ。
  小皿に、卓上の胡椒をたっぷり振り掛け、其処に酢を投入し、酢胡椒を作る。
  最近は此の食べ方が、小ざっぱりとして好きだ。
  別段、齧ると夥しい量の肉汁が溢れ出る訳でもないが、素朴な味わいと言うか、
  皮は程好くモチッと、餡は肉と野菜の量も均整が取れ、諄さは無い。
  軽い感じだが、小さ過ぎず、大蒜も効いていて、量感は確りと有る。
  瓶麦酒に手作り餃子とは、何とも正しい、優雅な日曜日の昼だ…。

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 ◎「チャーハンセット(ラーメン+半チャーハン)」八四〇円
 …此のゆるりとした、たおやかな時間を未だ味わって居たくて、
  「ビール(中ビン)」を発注し、食事も一緒に発注する。
  町中華三種の神器とも言うべき、ラーメン、炒飯、餃子、此れを制覇しよう。
  四八〇円の「ラーメン」に半炒飯が付く物が有るので、此れを御願いする。
  いやはや、此の空気感が良いね。
  麦酒と、昭和で止まった儘の雰囲気に酔い痴れていると、盆が運ばれて来る。
  おおっ、思い描いた通りの、期待を裏切らない出来栄えだ。
  先ずは蓮華を手に取り、ラーメンのプースーから啜ろう。
  うん、此れだ、此れだ。
  僕が子供の頃に味わった、又、当時はこう言うラーメンしか無かった時代の味。
  鶏ガラのあっさりとした味わいに、醤油ダレの切れ。
  そして、ケミカルな調味料のヴィンヴィンと舌に伝わる旨味。
  子供の頃、父親の帰りが遅い日に、「マルエツ」に母親の買い物に付いて行き、
  其の帰り、晩御飯に連れて行って貰った、大和田の「平和園」のラーメンの味。
  今は無き店の味わいに郷愁を感じ、感涙に噎びそうに成る。
  麺は緩やかな縮れで、腰とか弾力とか、そう言った物は如何でも良い。
  具は叉焼、菠薐草、鳴門、そして、麺麻ではなく、敢えて、支那竹と呼びたい。
  炒飯はと言うと、此れ又、想像通りの町中華の味わい。
  具は叉焼、玉子、葱と簡素で、緑豆が入っていないのが嬉しい。
  御飯粒はぱらぱらとしっとりの中間の様な解れ具合。
  脇に添えられた紅生姜が花を添え、ノスタルヂィに拍車を掛ける。
  麦酒大瓶一本、中瓶一本、そして、初めて訪れたとは思えない懐かしさに酔い、
  御会計を済ませ、「又、宜しく御願いします」の声に送り出される。
  昨今の小洒落たラーメン店より、こう言う風情の店に馴染む年回りに成ったか。