◆「開楽」【池袋】
◎「餃子定食(3個)」六五〇円+「手造りジャンボ餃子」一二〇円
…木曜日。
今週で通い慣れた池袋を引き払い、週明けからは新たな流刑地へと移転。
朝は三〇分早く出ないといけないし、乗り換えも二回有るし、
一本で行ける池袋だから、今の此の地を棲み処にしたが、此れじゃ意味無いな。
人生色々、会社も色々、社員も色々、男も色々、女だって色々咲き乱れるわね。
と言う訳で、池袋最後の今週は、今迄散々御邪魔した馴染みの店から、
最後に御邪魔して置きたい店を巡ろうと、硬く心に決めていた。
四日目の此の日も、気の合う同僚の方々と昼御飯に行く事に成り、
独りぼっちなら「伊達の牛たん本舗 宮城ふるさとプラザ店」と決めていたが、
流石に、一七八〇円もする「牛たん定食」を頂くのに巻き込む事は出来ない。
其処で、最後に再訪して置きたい此方を提案し、許可される。
二〇〇八年八月二日にid190氏に連れられて御邪魔して知り、
最後は二〇一二年三月二十六日以来、実に六年一〇ヶ月半振りと御無沙汰。
並びの「回転寿司 大江戸」には来るが、すっかり黒塗りに改装されている。
四人で突撃すれば、直ぐに片付けるからと暫し外で待機した後、
二階へと階段を上がり、囲われた個室の様な席に案内されてヨッコイショーイチ。
献立表を眺め、「Bセット(ジャンボ餃子5つ+半チャーハン」にしようか、
「Cセット(東京醤油ラーメン+ジャンボ餃子3つ)」にすべきか悩み出す。
此処は矢張り簡素に、「餃子定食(3個)」にしようと決めるが、
欲を掻いて餃子をもう一個追加し、一二〇円増しで四個にして貰って発注。
冷水を呷りつつ、周囲の会話をぼんやりと聞き、出来上がりをヂッと待つ。
一〇分強で配膳されるが、ん!?何故か来たのは「餃子定食(3個)」。
四個で御願いしたのに、此処へ来て、毎度御馴染みの忘れられると言う始末。
何処へ行っても、何時に成っても、僕はこう言う星の下の様だ。
流石に此れは指摘をし、大陸系の女中さんが一旦引き返し、出直す様だ。
数分で再度現れ、先程の「餃子定食(3個)」のプースーを零し乍ら置き、
もう一個は後から持って来ると言い、一先ず、先に頂き始めよう。
小皿に卓上の酢、醤油、辣油を、酢多目で配合したら、さあ噛り付こう。
丸で、犬の枕に成りそうな大きさのカイデーなザーギョー。
果たして、犬が枕をして寝るか如何かは知らないが…。
一九五四年開店と言う老舗の味は、言う迄も無いが旨い。
新鮮な野菜と特別に挽いた「上挽き肉」をたっぷりと使った餡を、
特製の皮で包み込んだジューシーな餃子と言うのが売りで、保存料、着色料、
安定剤等は一切使用していないと言う、身体にも優しい餃子の様だ。
カリッと香ばしく、もっちりとした弾力が有る皮は、其れ自体に旨味が有り、
次は中から夥しい量のルーシーが溢れ出すので、普通に噛んでは飛び出るので、
吸い乍ら噛むと言うのが掟で、餃子の醍醐味でもある。
豪快にガヴッと、大きな口で頬張るのが良く、余計な事は考えちゃ駄目だ。
餃子を齧ったら、今度は白米を頬張り、時折、搾菜の食感も加えで、
最後はプースーで押し流すと言う反復動作が堪らなく好きだ。
此れは「快楽」だな…。
一個目を食べ終わった所で、忘れ去られた餃子一個が遅れ馳せ乍ら遣って来る。
如何してこう言う憂き目に遭うかな…。
餃子を一心不乱に味わい、身体が麦酒を欲するのを我慢しつつ、満腹で退店。
牛タンも良いが、餃子一個を忘れられたが、最後に御邪魔出来て良かったわぃ。
もう、池袋には滅多に行く事も無いだろうな…。